ロンドン留学の日々

イギリス・ロンドンの生活、文化、基礎知識を綴ります。留学・ワーキングホリデー・移住。

音楽を楽しむ

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イギリスの音楽が好きで、留学を決めた人も多いかもしれません。リバプール出身のザ・ビートルズ、マンチェスターのザ・スミスにザ・ストーン・ローゼズ、オアシス、The 1975、スコットランドはグラスゴーのプライマル・スクリーム、エド・シーランやジョージ・エズラもイギリスが誇るミュージシャンですし、アデルや2016年に亡くなったジョージ・マイケルやデヴィッド・ボウイはロンドン出身です。

憧れのミュージシャンを排出した都市に暮らしてみれば、歌詞にあった風景を実際に目にしたり、地域の人のキャラクターと慣れ親しんで、歌の意味をより深く理解できるようにできるかもしれません。

首都ロンドンに留学すれば、ライブに足を運べる機会がより多く、新しい音楽との出会いや視野の広がりに繋がるかもしれません。また、一度有名になったミュージシャンは、地元でのライブ(ギグ=gigと呼ばれます)よりもロンドンでコンサートを見られる確率の方が高いとも言えるでしょう。

ではコンサートのチケットを探したり、手に入れるにはどうすれば良いのでしょう。

まずは、チケット販売サイトで公演を探す方法があります。大きな興行であればTicket MasterLive Nationといった大手のサイト、またWe Got TicketやTicketwebなど、比較的規模の小さいイベントを中心に扱うサイトもあります。

好きな会場(ヴェニュー=venue)があれば、オフィシャルサイトをチェックするのも良いでしょう。

O2 Academy系列、Apollo Hammersmith、Royal Albert Hall、KoKo、Electric Ballroom、Roundhouse、100 Clubなどロンドンには歴史ある、または有名なライブ会場が多くあります。

伝説のミュージシャンが過去に演奏した小さなステージを間近で体感できるのは、変わらぬ姿を残すことに長けたロンドンならではかもしれません。こちらには様々なヴェニューのリストがあります。

イーストロンドンのCafe Otoでは、イギリスに限らず日本を含む世界から様々なスタイルのミュージシャンが集まります。呼吸の音も聞こえるような小さな会場で、鳥肌モノのパフォーマンスが見られます。その名の通り昼間はカフェ営業をしていますし、日本酒も販売していますので、冒険したい気分のときには訪れてはいかがでしょう。

TimeOutやSongkickなど、イベントを紹介しているサイトで探すのも手です。音楽に限らず、思わず興味を惹かれるジャンルが見つかるかもしれません。TimeOutはジャンルごとにフィルターを掛けることが可能ですし、Songkickは好みのバンドなどを登録しておくと、コンサートが決まったらお知らせしてくれます。

またLondonNearsのリストは、会場のポストコードが分かるので、近所で何かイベントはないかと探しているときには便利です。大きな会場も小さめの会場のイベントもあり、スマートフォンでさらっと眺めて好きなアーティストの名前を見つけて、すっかり見逃していたイベントに出かける運びになることもあるでしょう。直接チケットを買うことはできませんが、イベントのページにリンクが貼ってあるので大抵の場合はそこから購入することができます。

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イギリスといえば音楽フェステバル、というイメージを持っている人もいるかもしれません。

5月にブライトンで行われるThe Great Escape、6月はDownload FestivalにGlastonbury Festival、7月はサフォーク州でLatitude Festival、8月のウェールズでのGreen Man FestivalにReading & Leeds Festivals、9月にはワイト島でのBestival(2017年は会場がドーセットに移動)とスコットランドでのT in the Parkなど、夏は一瞬も逃すまいと、イベントが企画されています。

夏とはいっても、イギリスの夏。悪天候でアクセスが確保されず、会場に辿り着けない人が続出したりイベント自体が中止になったりすることもあります。また何とか開催されても、泥にまみれて音楽どころではない状態に陥ることもしばしばで、どんなイベントも清潔感に溢れ統制の取れた日本のイベントと比べたら、ハードルの高いアクティビティになるかもしれません。ですが、楽しければいいじゃない、というイギリスのエンターテイメントを体験する良い機会となるでしょう。

またキャンプや自然と戯れることが苦手な人には、イーストロンドンのヴィクトリア・パークで開催されるLoveboxや、フィンズブリー・パークのWireless Festivalなど都市型フェス、エセックスのWe Are FSTVLや、サウスウェストロンドンのクラッパムコモンで行われるSouth West Fourなど、ロッククラブ型フェスもあります。フェスティバルを満喫して夜には自宅に戻れるというのも乙なものです。

問題は、チケットは前年または年の初め、まだヘッドライナーも決定していない時点で発売開始、夏のフェス気分が盛り上がってきた頃にはほとんどが売り切れているということでしょうか。入場料が高い上に、遠くでの開催の場合は旅費や滞在費もかかります。費用を少しでも浮かせるために一緒に参加する仲間を募ったり、出演者を見てから行くかどうかを決めたりと、頭を悩ませる駆け引きの多い夏になるかもしれません。ですが、その苦労に見合った体験になることでしょう。

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音楽の道を志してロンドンに渡る人もいると思います。クラシック音楽だけでなく、ポップミュージックのパフォーマンス、作詞作曲やサウンドエンジニアリングを学ぶコースなど、大学や専門学校で学べる分野も多彩ですし、ミュージシャン人口を考えるとセンスの合うアーティスト仲間に出会ったり良い楽器を手に入れられる確率も、ロンドンであれば高いかもしれません。

やはりイギリスにいるミュージシャンの質は高いと他のヨーロッパの国で活躍するとあるイギリス人アーティストから聞いたことがありますが、音楽家だけでなく、プロモーターやパブリッシャーなどとの良い出会いがあれば、活躍の道も広がるでしょう。

また日本とは違い、どんなにマイナーなバンドでもノルマ制のチケットを売り切れなければ出演料を求められるなどということはありません。もちろん出演料がでない時もあるでしょうが、演奏や著作に関して、基本的に音楽家の権利がしっかり守られていると思って良いでしょう。飛び込みでパフォーマンスできるオープンマイクもあちこちで開催されており、無名のアーティストをサポートする体制があるように見受けられます。

ですが収入を得る場合は、演奏して出演料を受け取ることができるビザがあること、またパフォーマンスしてはいけないエリアでないなど(バスキングと言われるストリート・パフォーマンスは、例えば地下鉄の駅などではライセンスが必要な場合がほとんどです)、ルールに気をつけましょう。

音楽の歴史と未来を感じられる、素晴らしいロンドン体験になりますように。