ロンドン留学の日々

イギリス・ロンドンの生活、文化、基礎知識を綴ります。留学・ワーキングホリデー・移住。

イギリス人の有給休暇について

日本は世界でも最も祝日が多い国の一つで、年間16日あります。会社員はこうした祝日の連休と有給休暇を数日使って1週間程度の休みを取り、旅行などに行く人が多いように思います。

対して、イギリスは8~10日となっており、少なく感じるかもしれません。

※イギリスの祝日に関しては、こちら

 

祝日が少ないイギリスですが、人事コンサルティング会社「マーサー」が、世界64カ国で10年以上勤務したフルタイム勤務の会社員を対象に有給休暇取得についてアンケートを行ったところ、公休日を除いたイギリスの有給休暇日数は28日で、最も恵まれている国の一つであることが分かりました。

有給休暇は上司や同僚と相談して、同意を得れば1年のうちで好きな時に取得することが出来ます。休暇の期間は個人で差がありますが、平均して2週間程度取得する方が多いそうです。 それを1年に2回くらい、ということですね。

有給休暇中は、メールと電話に自動返信を設定して先方にメッセージを残し、全く仕事をしないのが普通です。

 

イギリスでは有給休暇は権利であり、ほぼ全社員が1年ですべての日数を消化します。しっかりワークライフバランスが考えられているので仕事へのモチベーションも持続できそうですね。

 

ちなみに休暇中の旅行先で、一番人気はスペインだそうです。続いて、フランス、イタリア、またイギリス国内のウェールズのような地方を旅行したいという方も多いようです。


日本では未だに「なかなか有給が取れない」「退職時に有給を消化できない」なんてことがはびこっていて、ブラック企業なんて叫ばれています。日本も欧米の姿勢を見習っていき、有給取得が当然となるように期待したいですね。

イギリスの地域情報

ロンドン

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ご存知の通り、イギリスの首都であり、世界の都市としても知られているロンドンは、およそ820万人が暮らしており、アート、教育、ファッション、エンターテイメント、スポーツなどあらゆる文化的側面で世界をリードしています。

ロンドンでは、毎月大規模なイベントが行われています。春はイースター、夏はF1、全英オープンなどスポーツ系のイベント、秋はガイ・フォークス・ナイト(花火の打ち上げ)、リメンバランス・デー(戦没者追悼記念日)など歴史的な記念日、冬はもちろんクリスマス、ニューイヤーなど、1年を通して興味深いイベントが目白押しです。

また、ロンドンは人口の半分が移民と言われているほど、多国籍な人々が暮らしています。そのため、民族的なイベント(チャイニーズニューイヤー、カーニバルなど)も盛大にお祝いします。ロンドンほど街を歩いていてさまざまな言語が聞こえてくる都市は他にはないかもしれません。

留学する都市として考えてみると、ロンドンのこうした特徴は、留学先としては理想的と言えるでしょう。アメリカやオーストラリアなど他の欧米圏諸国は日本人が多く、平均して20%程度という学校がほとんどなのです。

それに対して、ロンドンの語学学校は5%~多くて10%という学校ばかりです。またヨーロッパからの留学生が多いので、国籍もバラエティーに富んでおり、ひとつの学校に世界50カ国くらいからの学生が集まっていますので文字通り、世界中に友達が出来ます。

積極的に仲間との交流を図ったり、色んなところに出かけ、色んな人に出会うことで、英語はもちろんのこと、視野もぐっと広がることでしょう。

マンチェスター

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ロンドンからマンチェスターまでは、飛行機でおよそ1時間、列車では2時間10分程度の距離にあるイングランド北部の中心都市です。

マンチェスターは産業革命時に中心的役割を果たし、工業都市として有名でした。しかし、現在はロンドンに次ぐ、金融都市であり、ポップカルチャーの発信地となっています。

街中には小さなライブハウスがいくつもあり、さまざまなジャンルの音楽が聞こえてきます。バンドや音楽好きにはたまらない街といえます。

また、スポーツも盛んで、プレミアリーグで活躍するマンチェスターユナイテッドとマンチェスターシティの2つのビッククラブの本拠地となっています。そのため、語学学校でもサッカー観戦のアクティビティがあったり、サッカーファンには最高の環境ではないでしょうか。

エンターテイメント、スポーツ、音楽など刺激的なものが街中に溢れているので、世界中から若者が集まってきます。エネルギッシュな都会で、いろんな人と出会い、忘れられない経験をしたみたい!という方には大変お勧めの都市です。

気候は、ロンドンよりは寒く、夏でも20℃を下回る日が続くことがありますので、肌寒く感じるかもしれません。冬は日中でも5℃くらいが平均的ですので、防寒できる温かい洋服が必須です。雨は一年を通して多く、傘は手放せません。

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ケンブリッジ

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ケンブリッジはロンドンから電車で北東へ50分の距離にある街です。人口はおよそ13万人でその名の通り、ケンブリッジ大学で大変有名な街です。人口の10%が大学生と言われており、学生の街としても知られています。その為、市内のショップでは学生割引が受けられたり、学校で必要なものは何でも揃いますので、留学生にとっても大変生活しやすいところです。
また、ケンブリッジ大学は理系に強いので、実はハイテク産業の中心地のひとつともなっており、シリコン・フェンと呼ばれていいます。

南から市の中心部を流れるケム川はとても美しく、人々はこの川の恵みを受けて、小麦や穀物を栽培し、発展してきました。「ケンブリッジ」という名前は、ケム川+ブリッジ(橋)からきています。現在も、休日にはケム川をパンティング(ボートでを漕いで川を進む)する人々の姿が見られます。ロンドンとはまた違った、のどかなイギリスが感じられるでしょう。

街は、中心部に大きなメインストリートがいくつかあり、そこに、観光、グルメ、ショッピングがぎゅっとつまっているので、頑張れば徒歩でも半日で十分回れる大きさです。
ケンブリッジ大学は31のカレッジの総称になり、それぞれユニークな造りとなっています。 なかでもキングスカレッジ、トリニティーカレッジ、セントジョンズカレッジなどが観光客に人気があります。

第87回アカデミー賞で5部門にノミネートされ、エディ・レッドメインが主演男優賞を受賞した「博士と彼女のセオリー」のロケ地もケンブリッジです。映画ではセントジョンズカレッジが主に撮影場所として使われています。

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写真:ホーキング博士とジェーンがパーティーで花火を見ているシーンで使われたニューコートです。とっても美しいシーンでうっとりしてしまいます。

その他、ケム川にかかる橋(kitchen Bridge)やトリニティーカレッジでも撮影が行われました。

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「博士と彼女のセオリー」が大好きな方にはもちろん、アカデミックな雰囲気が感じられる街で集中して勉強に取り組みたいという方は是非、ケンブリッジ留学をご検討ください。

ボーンマス

ボーンマスは、ロンドンからは列車でおよそ2時間離れた、イングランド南西部にある海辺の町です。
夏になると、イギリス国内から多くの観光客が訪れる有名なリゾート地でもあります。
ブライトンと比較されることがありますが、雰囲気としましては、ブライトンは若者が多くエネルギッシュな感じ、対してボーンマスはゆったりとした落ち着いた感じがあります。また、ビーチもブライトンが岩浜なのに対して、ボーンマスは砂浜なので、およそ11キロ続く浜辺を歩くのを楽しめます。

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気候は年間を通じて比較的に温暖で、夏の平均気温は12~22℃、冬は1?8℃程度です。また降水量もイギリスの他の都市と比べて少なめになっています。

こうしたのんびりとした雰囲気を持ち、温暖な気候があるボーンマスは、退職したシニアの方から大変人気で移住してくる人々も多いです。ですので、治安はロンドンと比較すると良く、人々も親切でフレンドリーと言われています。

街には、おしゃれなショップやレストランがありますし、郊外に行けばイギリスらしい田園風景が広がっていたり、賞受賞歴のある大変美しい公園があります。また、ウォーター―スポーツも盛んで、海ではボートやウィンドサーフィンなどを楽しむことが出来ます。

毎年8月には、世界でも有名なBournemouth Air Festival(航空ショー)が開催されます。

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10月には、Arts by the sea Festivalが催され、海辺にはユニークなアート作品が並びます。その他にもダンスやお芝居、演奏会や花火などのイベントが1~2週間、毎日のようにあります。

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ボーンマスにはボーンマス大学とアーツ・ユニバーシティ・ボーンマスという2つの大学がありどちらもそのキャンパスは広大です。特にボーンマス大学はイングランド南部で最も規模の大きな大学として知られています。語学教育も盛んなため、留学生向けの語学学校もたくさんあります。静かで落ち着いた雰囲気のあるボーンマスは、腰を据えて勉強するのにぴったりな環境といえるでしょう。

人々の憩いの場、ボーンマスガーデン

 

絵になる夕暮れの浜辺

グラスゴー

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グラスゴーはおよそ58万人の人々が暮らす、スコットランド最大の都市です。
長らくスコットランドの貿易と重工業の中心地として発展してきましたが、現在では若者でにぎわう、文化・芸術・エンタメの街へと変化を遂げました。

グラスゴーには博物館やギャラリーなどたくさんの見どころがあります。中でも、チャールズ・レニー・マッキントッシュ(1868~1928)はグラスゴー出身の建築家で、彼のデザインした作品はモダンで斬新、でもどことなく懐かさが感じられ、世界的に大変高い評価を受けています。そうした貴重な作品がグラスゴーでは至る所でみることが出来ます。

グラスゴー市内は徒歩で回るには大きすぎるので、バスや電車・地下鉄を上手く利用すると良いでしょう。セントラル駅から西がウエストエンド、東がイーストエンドと呼ばれる地区になっていますが、どちらにも観光スポットが点在していますし、歩き疲れたら休憩できるような広々した公園があります。
スタイリッシュなレストランおしゃれなパブ、かわいらしい雑貨ショップ、雰囲気の良いカフェなどはメインストリートの他、少し奥に入った通りにもたくさんあります。
長期の滞在でも飽きが来ない、エネルギッシュな街グラスゴーは留学先としてもおすすめです。学校数はあまりありませんが、その分留学生が少なく、リアルなスコットランド、そして人々を感じられるでしょう。

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イーストボーン

イーストボーンはイングランド南東部のサセックス地方にある海辺の都市です。ブライトンからは31キロ東にあり、ロンドンまでは電車で1時間半の距離にあります。

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イーストボーンには、Beachy Headと呼ばれる海に面したチョーク岩の崖があります。この崖はイギリスで最も高く、海面から162メートルの高さがあり、遠くから見ると白い岸壁が海のブルーとのコントラストでとても美しく神秘的です。実際に登ってみると意外と急こう配で良い運動になります。草花が生えているので、ピクニックなども出来るでしょう。

Beachy Headの東隣には、Seven Sistersという7つの頂を持つチョーク岩の崖があります。絶景が望め、ウォーキングコースとして世界中からたくさんの観光客が訪れます。

こうした自然・美しい景観が魅力の街の主産業は、観光となっており、街の中心部にはビクトリアン調のホテルが立ち並んでいます。また、その恵まれたマイルドな気候と住環境の良さから、年配者がリタイアしたら住みたい街No.1となっています。
あの有名なシャーロックホームズもリタイア先として、選んだといわれています。もちろん物語の中で、ですが。

ブライトンに比べ落ち着いたのんびりした雰囲気があるボーンマスは留学先としてもおすすめです。学校は地域にも密着していることが多いですし、校長先生やオーナーは街の中でも顔が広く、住民は留学生も快く受け入れてくれることでしょう。物価や家賃もロンドンより安く、遊びの誘惑もあまりないので、思いっきり勉学に励むことができるでしょう。

▼イーストボーンの紹介動画です

エディンバラ

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エディンバラはイギリス北部のスコットランドの首都で、グラスゴーに次ぐ第二の都市になっています。

旧市街と新市街の美しい町並みは、ユネスコの世界遺産に登録されており、世界中から観光客が集まります。 エディンバラ城やホリドールハウス宮殿など、有名な観光地だけではなく、街全体が歴史のある建物で溢れています。歩いていると、まるで中世にタイムスリップしたような感覚になるでしょう。

しかし、エディンバラは歴史的には暗い面もありました。18世紀には、人口増加が深刻になり、ヨーロッパでも有数の過密で不衛生な都市となっていました。 その際の名残が今もなお、垣間見えます。 また、かつては魔女狩りや拷問、殺人などの残忍な事件もありました。その為、エディンバラの歴史の闇にフォーカスした、細い路地裏や心霊現象で有名な地下都市を訪れるゴーストツアーも観光客の間では人気になっています。

街自体は、そこまで大きくないので、徒歩でも色んな場所に行くことが出来ることも魅力です。語学学校はすべてシティ中心部にありますので、大変便利な環境にあります。 また、語学学校も例外なく、中世やジョージア朝時代の美しい建物の中にあります。 エディンバラは古城や修道院、教会などヨーロッパの歴史に興味がある方には大変魅力的な留学先です。また、日本人もとても少ない都市ですので、出来るだけ英語環境になりたい、日本人がいない場所がいい、という方にもおすすめです。

カンタベリー

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カンタベリーはロンドンから、列車でおよそ1時間半の距離にあります。

イギリス最大の巡礼地で、世界遺産に登録されているカンタベリー大聖堂があることで知られており、毎年たくさんのキリスト教巡礼者が訪れます。

人口はおよそ4万人と、小規模の街ですが、大聖堂の隣には、世界で最も古い大学のひとつ、キングス・スクールがあります。その他にも、カンタベリー大学を始め、語学学校も多く、学園都市といえるでしょう。街の中心部には、大聖堂を始め、ウエストゲート、ハイストリートなど歴史的な建築物が見られ、道路は石畳だったり、古い町並みがとても美しいです。街を歩いているだけで、中世にタイムスリップしたような気分になります。

しかし、おしゃれなレストランやカフェなどの飲食店も立ち並び、日用品が買えるようなスーパーもありますし、ファッションブランドも多く展開していますので、生活に不便はありません。
古き良きイギリスを感じながら、勉強したいという方にはまさにぴったりの街といえます。

気候は、ロンドンとあまり変わらず、夏は20℃前後で涼しく過ごしやすいです。冬は氷点下まで下がることはほとんどなく、東京と同じくらいというイメージで良いかと思います。

雨の日がロンドンに比べて少なめですので、公園を散歩したり、パンティング(ボート)をしてのんびりするのが休日の過ごし方のおすすめです。

ブライトン

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ブライトンは、ロンドンからは電車で1時間~1時間半程度でアクセスできる海辺の街です。 ロンドンは雨が多いので、嫌、でもある程度都会に住みたい!という方にはぴったりの都市といえるでしょう。ブライトンは、「サンシャインシティ」というニックネームがあるくらい、晴れの日が多く、イギリスでは人気のある海辺の観光地になります。特に夏は大人気で、太陽と海を求めて、外国からだけではなく、イギリス国内からもたくさんの観光客で賑わいます。

日本でいえば、落ち着きのある、湘南というイメージになるかもしれません。

昔は、漁師の街であったのですが、現在はおしゃれなセレクトショップ、カフェ、パブ、クラブが立ち並び、若くて活気のある街に生まれ変わりました。

また、アートも有名で、毎年5月に開催されるブライトン・アート・フェスティバルは、イギリス第2の規模を誇り、開催中は世界中から有名なアーティストが集まります。

IELTS試験の基礎知識と勉強法

IELTS(アイエルツ)とは、International English Language Testing Systemの頭文字を取った英語能力検定試験になります。年間、およそ140万人の受験者がおり、海外留学や研修のための英語力証明として使われています。

イギリス留学希望者、特に学生ビザ(Tier4ビザ)取得をお考えの方は避けては通れない試験になります。

IELTSには実は2種類ありまして、1つはAcademic Moduleと呼ばれ、大学入学の際などに必要となるものです。もう1つはGeneral Moduleと呼ばれ、永住権やビザ取得の際に求められます。日本の受験者のほとんどはAcademicの方を受験されます。

受験方法

お申込みはオンラインまたは郵送となります。いずれの方法でも、お申込み時と受験当日には、本人確認の為、パスポートが必要になります。

インターネットでのお申込みの場合は、まずこちらのサイトからアカウントを作成します。そして、受験者情報を入力後、受験地とテストタイプ(モジュール選択)、受験日の選択を行います。受験地は東京や大阪をはじめ、全国15都市にあり、毎週実施しています。(※実施会場は試験日により異なります。)

お申込みは、試験日の3か月前から開始され、締切は5週間前の金曜日となっています。定員がありますので、お早目にお申込みされることをおすすめ致します。

お申込み内容を確認後は決済となります。決済方法はクレジットカード、コンビニ、郵便局ATMのいずれかを選択します。2014年10月時点での費用は25,380円となっています。

お支払が完了しましたら、「お申込を以下の内容で受け付けました」というメッセージとともに、整理番号、支払受付番号が表示されます。こちらの画面は印刷されるか、メモされることをおすすめします。

このネットでのお手続きの後、7日以内に必要な書類を送付します。必要書類は下記の2点です。

  • 6か月以内に撮影した証明写真×2枚
  • 顔写真とパスポートナンバー、有効期限が書かれたパスポートページのコピー

※パスポートはここで送付したものと、当日見せるものが同じでなければなりません。

申し込んだ受験日の2週間前くらいに受験票であるハガキが届きます。そこではじめて受験番号、試験会場、集合時間、スピーキングの日程と時間がわかります。無くさないように大事に保管しましょう。

郵送の場合は、こちらの「郵送によりお申込みの手引き」をご参照下さいませ。
http://www.eiken.or.jp/ielts/apply/pdf/ielts_apply_06.pdf

IELTSの構成

テストは、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つで構成されています。合計所要時間は約2時間45分です。

リスニング、リーディング、ライティングの筆記試験は同日に実施されます。各セクションの間に休憩時間はありません。スピーキングテストはIELTSの世界的な規定により、筆記試験の前後6日以内に行われます。通常、東京・大阪の試験では、筆記試験の翌日に実施されます。

各セクションごとに1~9のバンドスコアで点数が算出され、その4つのスコアの平均からオーバーオール・バンド・スコアが与えられます。ですので、合格、不合格はありません。

▼バンドスコアの解釈について 
http://www.eiken.or.jp/ielts/result/pdf/interpretation-of-ielts-bandscores-j.pdf

▼動画、IELTSの試験当日の流れ
http://youtu.be/nfedEbr3Kqs

テスト結果について

IELTS公式の成績証明書(Test Report Form)には、総合評価としてのオーバーオール・バンド・スコアと各パートそれぞれのバンドスコアがテスト結果として表示されます。

テスト結果は受験日から13日目に発行し、その後郵送で届きます。 オンラインからお申込みされた場合は、筆記試験日から13日目の午後7時より、オンライン試験結果表示サービスでもテスト結果をご覧いただけます。 テスト結果は2年間有効です。

IELTSの勉強法

IELTS(アイエルツ:International English Language Testing System)にはリスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つの項目が含まれます。

合格不合格ではなく、各スキルの結果が1.0から9.0のバンドスコアで評価され、そこから総合スコアが同じく1.0から9.0で表されます。

入学の際に求められるバンドスコアは大学によって異なり、例えばオックスフォード大学は必要最低限のスコアを総合7.0、また各項目も7.0としており、ハートフォードシャー大学は総合6.5、マンチェスター大学は総合5.5と定めています。(必要スコアの情報は主にEntry Requirementsとして各大学のサイトで確認できます)

IELTS公式のバンドスコアの解釈は、6を「不正確さ、不適切さ、および誤解がいくらか見られるものの、概して効果的に英語を駆使する能力を有している。特に、慣れた状況においては、かなり複雑な言語を使いこなすことができる」と表しています(他のレベルはこちら)。

入学申請を進めながら何度か受験して、期限までに目標スコアに到達する学生もいますし、書類審査、面接を先に通過し、入学までにIELTSの適性スコアを取得して提出する「条件付き合格」を得られる場合もあります。

 
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イギリスに留学する際に必要なAcademic Moduleの受験に備えて、早くから取り組める対策、それは「慣れ」ではないでしょうか。

では試験の内容と慣れ方について、一通り見てみましょう。(IELTS試験概要についてはIELTSの基礎知識をご覧ください)

リスニング

リスニングでは、日常生活でありそうな場面(例えばレストランや病院で)を想定した会話とモノローグ、そしてアカデミックな(例えば学校の入学説明会で)会話とモノローグを、それぞれの項目ごとに「質問を読んで」「オーディオを聞いて(メモを取りつつ)」「答えを記入して」「確認する」時間を与えられます。

選択肢問題や文章を完成させるものは日本の受験生には馴染みがあるかもしれませんが、手強いのはグラフや地図の説明を聞き取るものでしょう。言葉で描写された図式を理解して、与えられた場所に情報を書き込むのは、日本語でも容易ではないと思います。

例えば「玄関を開けて正面に二階に続く階段があり、左手の最初のドアを開けるとリビングルーム、次の扉はキッチンに続きます。廊下の突き当りにはバスルームがあって、バスルームの扉の右手には物置があります。物置は階段の下に位置していて…」などと聞こえたもののメモを取るのです。

そして「二階の寝室の下に位置するのはどの部屋ですか」といった質問に答えます。その場合、頭にその図を浮かべて軽く間取り図を思い浮かべられれば楽になるというわけです。

情報を正確に聞き取るという課題ですので、様々なタイプの問題が満載のIELTS対策本などを購入して、練習を積むのが良いでしょう。またライティングのテストにも役立つので、目で見る図形を自分で英語で説明できるようになるのも有効です。

自宅の間取り、街中の地図、グラフなど、目にしたものを文章にして書き留める、口にしてみる、という生活習慣ができれば、人に怪しまれたり一日の時間が足りなくなってしまうでしょうが、それでもイギリスに来てからの生活にも役立つはずです。

リーディング

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リーディング部門では、本や新聞、雑誌の記事から2,150~2,750語を読み取り、60分間で解答まで済ませます。

専門知識の必要なく読み解けるはずですが「風力発電の普及率は…60000メガワットで…58%が…」などと言われれば思考がシャットダウンしてしまう人、「大脳半球は左脳と右脳に分かれており…」と聞いて心臓が止まる人もいると思います。

その場合「専門知識がなくても読める、読めるはずだ」と何度も自分に言い聞かせる他に、普段から新聞や雑誌を英語で読んで堅苦しい(ですが一般生活で登場する言葉)文字に慣れておくこと、語彙を増やすことでパニックを防げるのではないでしょうか。

例えば、日本語で調べものをしたら英語でも簡単な文章を読んでおく、というのはいかがでしょうか。

筆者は日本語でWikipediaを開いたら、必ず英語版も目を通して、知らなかった単語に一度触れておくことにしています。全く覚えられませんが、どこかで見たことがある、というと記憶が文章の繋がりやすいものです。

特にIELTSのような試験の場合は、解答の選択肢に何となくでも記憶にある言葉が見つかったりすると、本文の読解中に絡んでいた「意味がわからない」の糸がするりと解けたりすることもあります。

リーディングテストでは、短い時間で「概要を掴む」「詳細を理解する」「推論、行間を読み取る」「筆者の意見、執筆の目的を察知する」「論点の展開を理解する」ことが期待されています。IELTSの問題を解く練習と、さっさと読む練習をこつこつ続けるに限るでしょう。

ライティング

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ライティングでは、図やデータを分析して150語以上の文章にするものと、意見や議論を250語以上で書き出す問題があります。前者では情報を伝えるのですが、時に図に含まれた過程を説明することもあります。

例えば機械の部品説明の絵から「この部分で穀物をすり潰して、粉状になったものがこちらのパイプから吸い込まれ…」という作業工程を書き記すといった具合です。その場合、図には明記されていない「作業の描写」の説明が必要になりますし、わかりやすく伝えるためには工程の順序を読み取ることも重要になってきます。

後者の問題では、意見を述べるのに「Aは時間の短縮になるが、Bはコストを抑えることができる」というように事実の比較と検証をして、自分の見解に至った理由を後押しする必要があることも考えられます。

そして「現代社会ではこういう状況なので、より良い策としては…であると考えられる」などと、客観的な着地点を説明するための社会的な見聞を取り入れるスキルも重宝するでしょう。自分の意見をまとめるので正解はありませんが、文法や綴りの正確さに加え、論点を鋭く伝えられること、興味深い観点を提示することなどが重要でしょう。

日々の友人や家族との会話で自分の論点を伝える練習をすると鬱陶しがられると思いますが、論理的な思考と発言の習慣は、渡英後の学問(語学留学でも、授業中のディスカッションは必須です)、論文執筆、または日常の人との議論にも役に立つものです。

繰り返しになりますが、やはり練習問題に取り組み続けることと、思考の習慣をつけることが鍵となるでしょう。

スピーキング

スピーキングは、言わば面接です。時間は11分から14分間とされていますが、自己紹介、指定されたトピックについてのスピーチ、そしてその内容について面談者との議論で構成されます。

自己紹介では家族などのバックグラウンドの説明など、初対面の日本人にしたら込み入ったことに踏み込まれるかもしれませんが、話せることを予め書き出して練習し、自分が明かしたことについて突っ込んで質問された場合、さらに詳しく説明できるように準備しておくと良いでしょう。

もちろん「知らない」「答えたくない」という返答もありですので、その理由を添えられるようにしましょう。

発音がわかりやすいのに越したことはありませんが、それよりも「話し続けられること」が重要ではないかと思われます。例えば、答えに詰まってしまっても、黙ってしまう「今考えてますアピール」は通じませんが「どう説明したらいいでしょう、えーと(how should I explain …umm)」などと言葉で繋げれば、「話せる人」のように聞こえます。

必要なことを英語で言えるかどうか、と同時に、コミュニケーションする気があるか(意見があるか、ないならばないことを伝える意志があるか)が大切です。

必要なことを伝えること、意見をまとめられるようになること、これにもしつこいようですがやはり、慣れが一番でしょう。問題集の例題で練習を重ねる以外には、見るもの、思うことを英語でつぶやいてみる、テレビに英語で話しかける、聞かれてもいない問いに英語で答える、といった地味なアクティビティがオススメです。

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IELTSの試験勉強は、結果的にイギリスでの学生生活に役に立つことになるでしょう。筆者の場合は特に、IELTSのライティングの訓練をしていなければ、最初の学期から山のように課される大学の論文執筆がもっと大変になっていたと思います。

イギリス語学留学で、IELTS対策のコースを取ることも可能です。その場合、スピーキングは日本にいるより練習しやすいでしょうし、リーディング、リスニング、ライティングの問題のネタになるものも、日常生活のあちこちに転がっています。General Englishコースを終えてから、IELTSコースに進んでも良いかもしれません。

日常でできるIELTS対策は、英語学習の基本と通じるものであると筆者は考えます。ひとりで英語をつぶやいている自分に気づいて「クスッ」と照れ笑いする頃には、もう少し大きな声で誰かに英語で話しかけることが苦ではなくなっているでしょう。

推薦状を依頼する

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日本では進学の際、希望する教育機関(大学入試センターまたは希望する進学先)による学力検査の結果の他に、在籍校からの調査書(内申書)が、その学生の適性を判断する主な資料となるでしょう。ですがその内容は、生徒に知らされることはありません。成績は目にすることがあるかもしれませんが、自分の態度や意欲が教師にどのように評価されているかを知ることはできません。

イギリスで大学進学を希望する場合、その過程で学習することにどれだけ意義を見出しているか、自分がいかにその資格に適しているかを、志願理由書に綴ってアピールする必要があります(志願理由書についてはこちら)。そして自らを正しく評価するために、客観的な第三者からの意見を認識することは、不可欠だといえるのではないでしょうか。

進学時に限らず、就職活動やその他社会的な自己証明が必要な場合にも、本人をよく知る第三者からの推薦状が欠かせないのがイギリスです。時には家を借りる際にも、以前の大家からの手紙を求められることもあります(家賃の支払いに滞りはなかったか、部屋を良い状態に保った理想的な借り手だったかなどについて)。多くの場合は担当教師、アルバイト先や仕事の上司などに依頼すると、ためらうことなくさらりと一筆書いてくれるはずです。(親や親戚、友人、恋人などは避けましょう)

そういった手紙はリファレンス・レター(reference letter)またはレコメンデーション・レター(recommendation letter)などと呼ばれます。それを必要な機関に提出するのはあなたなので、書き上がると推薦者は手紙をあなたの元に送り返してくれます。自分について書かれた手紙を、少々照れながらも読み放題です。間違えてあなたのことを個人的に恨む人に依頼してしまわない限り、大抵は自分では気づいてもいなかった長所を備えた立派な人物として表してくれていることでしょう。

さらには「こんな感じでどうかしら」と確認されたり、こういう道に進むための手紙ですので、もう少しこの活動について触れてくださいなどというリクエストを受けてくれる場合もあるでしょう。こうしてできあがった推薦状は、あなたの未来の恩師や上司に、あなたという人物の素晴らしさを証明してくれるのです。

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日本に、個人的な推薦状を提出する習慣がないのは少し不利に感じるかもしれません。ですが、あなたのイギリス留学を認めてくれたり後押ししてくれる人がいるならば、推薦状を手に入れたも同然です。何故なら、例えその人が勝手がわからなくても、あなたが必要な事項を用意して、このように書いてくださいとガイドすればいいのです。

もしも正式な手紙のフォーマットがわからないと言われれば、サンプルを用意しても良いかもしれません。もちろん内容は英語である必要がありますが、日本語で書いてもらった後で英語に訳し、それを確認してもらったうえでサインをお願いするという方法もあります。

推薦状に特に決まったフォーマットはなく、通常は依頼された推薦人ができるだけ信憑性のあるものを作り上げる努力をしてくれます。ですがあなたの推薦者が参照できるテンプレートが必要であれば、インターネットで様々な例を見つけることができますのでいくつか見て研究してみてください。

そして推薦者の名前や所属、住所、また推薦状を宛てる人の住所、日付などを書くフォーマルな英文書のルールは従ってもらうと良いでしょう。宛名がわからない場合はTo whom it may concern(ご担当者様)、締めの文句(Yours sincerelyなど)、最後に記名と手書きのサインさえ忘れなければそれなりに見えるというものです。中身はもちろんですが、見栄えもやはり大事です。

さて肝心な内容です。例として、筆者が大学の卒業時に担当教授に書いてもらった推薦文を見てみましょう。

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本文一行目から「○○校の講師として△△(筆者)を見てきましたが、集中力があり、勤勉で時間を厳守し、責任感が強く魅力的な人物だと感じていました」

と、執筆者の素性(役職)と生徒との関係、生徒の授業態度と人柄を一気に述べてスタートダッシュを見せています。続いて、課題の提出や授業への出席を欠かさなかったことや、授業への貢献度など詳細を説明することで、先に述べた「良い生徒像」に信憑性を加えます。そして卒業時の成績、こなした課題の評価や論文執筆の腕前など、学力にも触れてだいたい5文で一段落です。

筆者の場合は特に提出先は決まっていなかったので、まとめとしての将来への期待を「どのような職でも、またさらなる教育の道に進むとしても、必ずや成功させるでしょう」と振り幅広く書いてくれました。あなたが大学受験用に提出するならば「この生徒ほど、御校の課程を修了し、世界に役立てることができるであろう人物は思いつきません」ぐらいの情熱的な後押しをもらうとより良いかもしれません。

世界の役には立たずとも、希望大学名とできればコース名に触れて、推薦者自体があなたの希望を理解した上で将来の期待を寄せている、ということを示してもらうのがよいでしょう。

最後に「必要であればいつでもご連絡ください」と締めてあります。これで、推薦者が手紙の内容に責任を持っていることがわかります。

サインは日本の押印のように重要ではありますが、推薦人が日本語での署名を突き通す人であれば、敢えてこの英文書のためにアルファベットで書いてもらわなくても大丈夫です。

また、例えば住所の代わりにメールアドレスしか書いてくれなかったとか、日付を北米式に月・日・年で書いてあるといった場合、特にわざわざ訂正依頼をする必要もないでしょう。何故なら「こうするべき」という正解はないからです。

筆者のこの推薦状を書いてくれた教授はおそらく60代の大御所で、連絡先に郵便が届く住所を書いてくれましたが、他にお願いした少し若い世代の教授の中には、電話番号やメールアドレスを加えてくれた人もいました。

推薦状に正解はありませんが、大切なのはあなたがそのコースに相応しい人物であることを証明してもらうことです。もしかすると推薦状の依頼は、あなたの理解者に、留学への熱意を理解してもらうことから始まるのかもしれません。

イギリスの大学進学に関して

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応募の条件

イギリスでは、大学に入学するためには16歳の義務教育終了時に、GCSEというテストを受験しなければいけません。英語、数学、サイエンス(科学のどれか)といった必須項目がありますが、自分で選択した得意科目で点数を稼ぐことができます。

その後オプションとして2年間のAレベルというコースを終了することで、大学入学により有利な資格を手に入れることもできます。大学によって受験に必要な条件が異なり、Aレベルの証明を求められる場合もあるようですが、修業したい分野で同等の学力があることが認められれば、実際にAレベルを修了していなくても受け入れられる可能性があります。

例えば、既に同分野での社会経験がある場合。現在日本でピアノ教室を開いている人が、音楽大学の教育課程を受験したい場合や、歯科学科に行きたい人が、日本で歯科助手としての勤務経験がある場合など。

また、日本の大学学科で修業中の人が編入を希望する場合も、イギリスの教育機関からの学力証明は免除されるでしょう。

オックスフォード大学では「当校に入学を希望する多くの生徒が、受験に備えてAレベルを受けていますが、過去にAレベルを済ませている人、現在Aレベルに取り組んでいる人、同等の資格のために勉強している人からの出願も受け付けています」とアナウンスしています。(出典:Entrance requirements at ox.ac.uk)

またAレベルの代わりにアクセス・コースというAレベルと同等の資格を与える教育機関からの応募も可能なようです。

オックスフォード大学はほんの一例ですが、イギリスの大学は一概に、共通試験での学力証明や入学条件ががんじがらめでなく融通がきくので、学問を志す人への門戸は広めに開けてあると言えるでしょう。

日本の学力証明

高校を卒業したばかりの日本人がイギリスの大学への入学を希望する場合、日本の高等学校の卒業がGCSEと同等資格(大学課程についていける基礎学力の証明)と見なされます。ですが、たとえAレベルの提出が不要でも、英語力の証明は必須です。日本でも受験することができる英語力証明テスト「IELTS(アイエルツ:International English Language Testing System)」で、求められる水準の結果を提出する必要があるでしょう。

もし入学許可の判定前に十分なスコアを提出できなかったとしても、入学前に早めに渡英して、アイエルツ対策のコースを受講し合格水準に達することを条件に、入学を許可される可能性もあります。

またイギリスの学部コースは基本3年間ですが、Aレベルを受けていない海外の学生などは、本学部入学の前にファンデーションコースという1年間の進学準備コースを受講するという方法もあります。こちらも受験にはアイエルツのスコアが必要となりますが、本学部入学条件よりも低めに設定されている場合が多く、大学の授業についていける英語力と、希望する学科へ進学できる基礎学力を培うことができるのです。大学併設の、または違う大学で開催される関連科目のファンデーションコース受講を条件とするところもあります。

成績証明・推薦状

教育機関からの成績証明書・推薦状も重要なポイントとなります。希望する大学から「是非うちで学びなさい」と思ってもらえるよう、卒業した学校の担当教師などから、学力、勤勉さや前向きな人柄を伝えてもらいます。また、既に社会に出てコースと関係のある分野に従事している人は、学生時代の成績よりも、現在の上司からの推薦状を提出する方が有効な場合もあるでしょう。

志願理由書

上記の証明書に加えて、大学にとって自校での就学に適している学生かどうかを判断するのに重要なのが、志願理由書です。他書類と同じく英語で書くことになりますが、リサーチを経て、希望大学の選定にたどり着くまでの情熱があったならば、あとは自信を持って説明を書き綴るのみです。大学に入れば嫌でも論文を書き続けてアカデミックな文章を仕上げられるようになりますので、ここは丁寧に、そして真摯に取り組むことが大切でしょう。

面接

書類選考ののち、面接を受けることになります。海外からの学生の受け入れに熱心な大学では、日本に定期的に教員がやってきて日本で面接を受けることができることもあるようです。そうでなければ電話やスカイプで、という対応になることがほとんどでしょう。イギリスの時差は日本からマイナス9時間(サマータイムは8時間)ですので、電話やスカイプが夜のおかしな時間になる可能性もあり!

大学卒業資格

大学の学費は高額で、特にEU圏外からの学生には1.5倍から2倍の受講料を求められることがあります。ですが、提携大学からの認定を受けた高等教育機関で学費を比較的安く抑え、卒業時にその大学からの卒業認定を受けるという方法もあります。カリキュラムの内容はもちろん、学期ごとの試験結果にも大学からの厳しいチェックが入るうえ、大学の設備も使用できるので、学業の質が劣るとは言えないでしょう。また本学部にはない科目を選ぶことができるという可能性もあります。

EU圏外からのインターナショナル・ステューデントに、圏内からの学生よりも多額の授業料の支払いが課せられることは避けられないのですが、それでもその大学の本学部に通うより低い授業料で卒業資格を得ることができるというのは、留学生にとっての有益な選択肢の一つであると考えられるでしょう。

道に迷った時に覚えておきたいこと

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SIMロックのかかっていないGPS機能搭載のスマートフォンを日本から持ってきてすぐ使うことができるようになった現在、知らない国に降り立って街で道に迷うことは少なくなったのではないでしょうか。

さらに、もし海外ローミングをできない状態で上陸したとしても、ロンドンでは街中の至る所に現在地、最寄りの駅、大きめの通りの名前などが書いてある少々大味の地図がありますので、だいたいの方角を掴むことができるでしょう。(ですが、必要な時に限って見当たらないものです。)むしろ、観光客の広げるガイドブックの地図と袖が触れる確率のほうが高いかもしれません。そして外国からの観光客同士の場合、共通語もないということだってあるでしょう。

知らない人に「あなたの持っているその地図を見せてください」などとお願いするシチュエーションは想像しにくいものですが・・・

空港や、様々な交通機関のハブとなっている電車の駅(PaddingtonやVictoriaなど)には、無料のロンドン観光案内図が置いてあったりします。ホテルに泊まっていればレセプション(フロント/受付)でも手に入るかもしれませんので、GPSなどに頼るものかと意気込んで街に飛び出したものの途中で不安になった時には、ちょっとの寄り道で安心を手に入れることができるでしょう。

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さて、最新または古代から伝わるテクノロジー(印刷技術は七世紀末には生まれていたそうです)を使わずに、道に迷った己を救い出す伝統的な方法は「人に尋ねる」ことではないでしょうか。勿体ぶってここまでたどり着きましたが、語学の壁を乗り越えようとせっかく海を渡って来たのですから、できるだけ言葉でコミュニケーションを取っていきたいものです。

筆者は知り合いの日本人に「道を聞くには犬を連れている人を選ぶ」という技を教わりました。道を聞いても分からない観光客が、常に地図を広げていたりスーツケースを転がしているとは限らないからです。特に街中では、犬の散歩をする人はだいたい地元の人でしょう。その知り合いがある日、犬を連れたとても背の高い人に道を尋ね、丁寧に教えてくれたお礼に顔を見上げたところ、目の前にいたのは俳優のオーランド・ブルーム(Orlando Bloom)だった、と聞きました。話しかけたのなら人の目を見て聞きましょう。

道を尋ねる際、少なくともお願いごとをするのですから丁寧に「エクスキューズミー」と言って注目を集めるのがいいでしょう。慣れてくると”Hi, sorry,”などと始めることもできますが「ハイ、ソーリー」のあとスラスラと言葉が続かなければ、不自然な間と気まずい雰囲気が生まれ、焦ってしまうかもしれません。

ですから堂々と、あなたの発音で話しかけましょう。発音は、あなたの英語力を表すバロメーターでもありますので、あまりに流暢な発音で話しかけてしまうと、容赦なく早口で道案内をされてしまうかもしれないからです。

また無闇に「英語っぽさ」を意識して発音してしまうと、日本で習ったアメリカのアクセントに偏ってしまうという可能性もあります。どちらが正しく、どちらが間違っているというわけではありませんし、アメリカ人の話す英語がイギリスで通じないということもないのですが、どちらかと言えばカタカナ発音に似ていることばを、無駄に巻き舌を駆使してはっきり聞こえなくしてしまうよりは、パキっとカタコトで言ってしまう方がコミュニケーションの近道になるのではないかと思うのです。

何故なら筆者は先日、初めて日本から父を迎え「(舌を)巻かなくては!とりあえず巻かなくては!」という父の口元の焦りを終始感じたからです。例えばイングランドでは「R」をそのまま放置します。

父がクールに「トゥギャザー(ルルル)」という横で「トゥギャザーでいいですよ」などと思って止まず、「ヘァッピィー」と繰り返す父が「ハッピー」と言ってくれていたなら何度も聞き返さずに済んだのに、「ハァット」を簡潔に「ホット」と言ってくれれば、すぐに窓を開けたのに、などと考えていました。

アメリカで「ウォーター」と言っても通じなかった、「ぅわーらぁ」と言わなくてはいけない、といった話をよく耳にしますが、あなたが選んだイギリスでは「ウォーター」は「ウォーター」と呼ばれています。「ア」を「エァ」、「オ」を「ァ」などとドラマチックに飾らなくて大丈夫です。「これは日本語発音だろう」と思う発音で、だいたい何とかなるものです。

日本語にはない発音を、カタカナの枠におさめて表記するのには無理がありますが、イギリスで使う英語、発音についてはできる形で徐々に紹介していきましょう。

とりあえず「英語っぽい発音」という概念を忘れて、あなたらしい発音を堂々と。サンキューとプリーズを忘れずに。それだけであなたは、道を切り開くスキルをひとつ、手にしたことになります。

スーパーマーケットで買えるもの

ヘルシーな食生活に注目が集まる昨今のイギリスでは、オーガニック食材の入手も簡単になり、スーパーマーケットでも品質にこだわったブランドの確立に熱心です。

例えばSainsbury’sでは、So Organicというオーガニックラインや、Be Good To Yourselfというカロリー控えめの出来合い商品を揃えていますし、TescoやMorrisonsなどほとんどのスーパーの中型以上の店舗にはベーカリーが併設されていて、保存料たっぷり感の割と少ない、焼き立てパンやマフィンを買うことができます。

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また大型店舗では精肉カウンター(butcher’s counter)や鮮魚コーナー(fishmonger)で、パッケージされているものよりもバラエティも多く、新鮮で自由な量の購買が望める場合もあります。

特に鮮魚は日本ほど充実しているとは言えないかもしれませんが、ハドックやコッド(鱈)など庶民の味方の他、ホタテやサーモン大きい切り身など、パックで買うと値段と貧相な中身のバランスに寂しい気持ちになる品物も、少し良い状態で(きっと、あなたの精神状態も)持ち帰ることができるでしょう。

ムール貝などは安く買うことができ、エビも茹でたものも生もポピュラーなようですが、筆者はイカには悲しい思いをさせられています。

海辺の町に行くと丸ごと冷凍された生イカを見ることがありますが、ロンドンのスーパーマーケットでは、貧相なイカリング(茹で)片手一杯分ほどに4ポンド近くもの値がついていたりします。「ロンドンは海から遠いから仕方がないわよね」という皮肉の冗談で涙を拭いますが、スーパーマーケットで買うべきものではないという認識を持てば良いのでしょう。

精肉カウンターがある店舗では、パックされているお肉も通常より種類が豊富なことがあります。

だいたいどこにでもあるのはチキン、ビーフ、ポーク、ラム、ターキーなどですが、筆者の気に入りは精肉・鮮魚に力を入れているMorrisonsで、腿肉や胸肉といった通常の部位の他、鶏や牛のハツ(heart)や鶏の砂肝(gizzard)、豚の頬肉(pork cheek)、皮(pork skin)、牛骨髄(marrow)などが、きっと需要がないためにそれはそれは安く手に入ります。

日本食を振る舞うのに、いつも醤油か味噌味になってしまうわ、という人は、使用する肉の部位を変えてみるのはどうでしょうか。レバーはパテなどの人気から理解はあるようですが、特にハツなどは食べられることさえ信じられない、という人もいますので、面白い反応が見られるかもしれません。

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住宅街に近い個人商店や決まった曜日に開催されるマーケットなどでは、ボウルに一杯で1ポンドといった安い値段で野菜や果物を買うことができます。

オーガニック商品を扱うマーケットでは多少値が張りますが、特にこだわらなければスーパーで買うよりも格段に安く、特に果物は食べきれるかどうか心配になるような量が手に入るので、住む場所を決める際に近所にマーケットがあるかをチェックするのも新生活に役立つかもしれません。

筆者が暮らすアフリカ系移民の多い街では、ヤムイモやプランタンなどの野菜や、丸ごとの魚、ヤギの肉など、普通のスーパーマーケットでは手に入らないようなものも安く売っています。冷凍ではありますが、サバを丸ごと一匹1ポンドで購入したこともあります。

以前住んでいたアラブ系移民の多い街では新鮮なオクラが簡単に手に入りましたし、日本人の多い地域ではお刺身にできる魚を売っている日本食材スーパーがあるというように、同じロンドンの中でも街ごとの特色が出るマーケットを探究して、食生活を順応させていくのも面白いかもしれません。

さて日本を離れて気軽に生食できないものには、魚以外に卵があります。

イギリスでは、半熟卵をエッグスタンドに立てたまま上部だけ殻と白身を取り除いて、細長く棒状に切ったトーストを黄身に浸して食べるエッグ&ソルジャーという伝統的なメニューがありますが、やはり火を通すので、卵かけご飯が恋しい、という気持ちは残るものです。ポーチドエッグにしろ、温泉卵を作るにしろ、どうしてもあの濃厚な生卵のパンチは得ることができません。

サルモネラ菌が猛威を奮ったことがあるらしいイギリスでは、生卵は食べてはいけない、というのが通説でした。

それでも品質管理認証のライオン印がついている商品なら大丈夫らしい、またはオーガニック卵なら、など諸説あり、生卵の恋しさに耐えられなかった人がそれぞれ自己責任でチャレンジしてきたようですが、最近「ここ15年でサルモネラのリスクが低減し、現在では妊娠中の女性も生卵を摂取して問題ない(ライオン印が低リスク)、というリポートがありました(リンクはこちら)。

これで、日本の食事を恋しくなる理由がまたひとつ減るのでしょうか。

イギリス人の距離のとり方

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イギリス人はよく行列をすると言われます。そして筆者が気づいたところによると、多くの場合、前後に十分な距離を保って、美しく並びます(それが美しく見えてきます)。

たまに後ろにギュウギュウに詰めて並ばれると、その人たちから聞こえてくるのは外国語なことが多く、人肌のコミュニケーションを大事にする国から来た人たちなのだな、などと思って、膝裏に当たる後ろの人の衣類のこそばゆさに歯を食いしばって耐えるしかありません。

そしてヨーロッパ大陸から来た人は、不愉快な時にそれを訴えてやめてもらうことを厭わないようですが、「シャイなイギリス人は声を上げられずに黙って我慢」という話を新聞のコラムのようなもので読んだことがあります。日本もどちらかと言うとそのような文化な気がするので、筆者はそれを奥ゆかしさと呼んで、愛でることにしています。これは個人的な体験と意見ですが、イギリス人の対人距離感については、よく耳にすることでもあります。

例えば、現在のパートナーに惚れた理由を「彼の方から握手を求めなかったから」と言ったイギリス人女性がいます。仕事を通して出会った2人なので、最初は握手から始まったのだろうと想像していましたが、「紳士たるもの、女性が心を許して手を差し出す前に握手を強要すべきではない」というアイデアが、イギリスで生まれて他の国でイギリス人の親に育てられた彼女の中で、密かに培われていたようです。それを「理想の男性像」の条件として掲げていたわけではないにしろ、彼の小さな仕草に気づいて心を掴まれたようです。

また世代によっても変わってきているようで、毎日顔を合わせる大学の友人と、これまた毎日ハグやキスを交わすことに最後まで慣れなかったイングランド北部出身の友人がいます。「最近の人たちはアメリカ(北米)のテレビの見過ぎか、ヨーロッパに感化され過ぎている」と呟いていました。イギリスを含むヨーロッパも、大陸から来た人たちは、とても素敵に頬にキスを交わすようです。前述の女性の「紳士なパートナー」は、自分の父親と会うと、父と息子の男同士の固い握手を交わすそうです。

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少し状況が違いますが、2009年には、米大統領婦人として英エリザベス女王と初対面を果たしたミシェル・オバマさんが、女王にハグをしてしまったと話題になったことがありました。高貴な女王との接触には細かいルールがあり、直接目を見て話すことさえ許されないといいます。そこでチャーミングなアメリカ大統領夫人なりの敬愛の表現をしたものですから、イギリスをびっくりさせてしまったようです。

再び筆者の経験になりますが、ロンドンに来て初めの頃に少し仲良くなったスペイン人の男の子が、別れの挨拶に毎回両頬にキスをしてくれようとしていました。今でこそ、どうもどうもと自分でもそれっぽい「チュ」という音を出して気軽に対応できるようになりましたが、当時は毎日のようにそのようなことをされることは心地が悪かったので、「わたしはボディタッチをしない国から来たもので」と説明し、せめてハグだけにしてもらうようお願いしました。彼は彼で「バイバイを言う時にキスをしないなんて、とても失礼なことをしている気がする」と心地悪そうに言っていましたが、こちらの文化に合わせてくれました。

頬にキスをする回数も、国によって違うようです。片頬に一度の国もあれば、両頬に一度ずつの国、右、左、右(もしくは逆周り)のように三度繰り返す文化もあるようです。フランスに暮らすスイス人の友人がロンドンに遊びに来た時に「イギリス人は何回やるの?」と尋ねられたこともあります。筆者を家族の一員のように扱ってくれるイギリス人の親友の親やおばあちゃんとは、唇にキスをします。イギリスにいる外国人の話になってしまいましたが、これも筆者のイギリス体験の一部であります。

イギリス人のルールに関しての記事にも当てはまりますが、お伝えしたいのは、体験は人それぞれ、環境やその人の受け取り方によっても変わってくるということを念頭に置いておくのが大切だということです。筆者が見てきたのは西ロンドンと東ロンドンのほんの一部の地域の姿、ほんの一部の人との体験ですし、ここに書いてあるのも筆者の見解でしかありません。

北ロンドンではまた違う形のコミュニティがあるでしょうし、イギリスの別の地域に暮らす人もまた、全く別の文化や人間模様を見ることでしょう。

情報を手に入れることは難しくない世の中となりましたが、使い方はあなた次第です。読んだことが真実であると鵜呑みにしたりせず、見たものが世界の全てであると決めつけたりもせず、多民族が暮らす国にいるということを最大限に楽しんで、多くを吸収して柔軟な思考を培うチャンスとしていただければと思います。

日本では手に入りにくいもの

日本に帰国をする際、恋しくなるものは何でしょうか。筆者はイギリス生活を抜けて3年ほど日本に戻って暮らしたことがありましたが、日本では買うことができずイギリスを懐かしく思った食品がいくつかありました。

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まずは大型の朝食シリアル。特に業務用ということもなく700グラムの大箱(大きすぎて食料棚に収まりきらず、箱をカットすることもしばしば)が普通のスーパーマーケットに売っているイギリスから戻ると、日本の大きくて400グラムほどのシリアル業界に不満を覚えたものです。

ケロッグ社など日本と共通のブランドはありますが、日本では取扱のない商品もあります(逆も然りですが)。また日本で手に入らないわけではないのですが、イギリスでは気軽に買えるオーガニックのミューズリーなども、日本での値段の高さに歯ぎしりすることになります。

他に、日本で売っていないわけではないけれども安いイギリスを恋しく思う、という点では、片手一杯の束が1ポンドほどで手に入るパクチー(Corianderと呼ばれています)や、日本と比べるとたっぷり袋に入ったルッコラ(Rocketという名です)、マッシュルームや色々な種類のチーズなどがあるでしょう。

特にチーズなどは、日本のレシピで「チーズ」「とろけるチーズ」のように大雑把な名称をよく目にするのですが、イギリスでのチーズ生活に慣れてくると「チェダーチーズ?」「レスターチーズ?」と選択に迷うほどの種類があることに気づきます。

死活問題とは言えないのですが、そのようなものに気づいて以来、日本に帰ったら敷居の高くなるものを意識して、イギリスでの生活を満喫するようになりました。

イギリスでは、牛乳は主に3種類あります。赤い蓋のskimmed milk(無脂肪乳)、緑の蓋のsemi-skimmed milk(低脂肪乳)、そして青い蓋のwhole milk(全乳)、種類によって蓋の色が違うので、牛乳の種類というよりも「Blue Top」「Green Top」などとキャップの色で呼ばれるのを耳にするかもしれません。

「主に3種類」と述べたのは、オーガニック(こちらも3種類)ブランドなどがほとんど必ずと言っていいほど普通のものと並べて売られているからです。

また常温保存できるロングライフ商品もあります。小さくて1パイント(500ml弱)最大で6パイント(2.8リットル強)のプラスチックのボトルで売られています。

牛乳好きな筆者はいつも4パイント(2リットル強)のwhole milkを1ポンドほどで買っているので、日本に戻ると1リットルずつしか買えないことを面倒だと思ってしまいます。また何が違うのかはわかりませんが、 同じ全乳でも日本ではあっさりした味に感じるので、牛乳の味も違うものだなと思うのです。

さて紅茶も、やはり日本にないわけではないけれど、イギリスとは違うもののひとつではないでしょうか。

トワイニングやリプトン(スコットランド)など、日本製かと勘違いするほど気軽に日本で手に入れることができるものも多いですし、ハロッズやフォートナム・アンド・メイソンといった高級店の高級紅茶を街中で見かけることも珍しくはないとは思いますが、イギリスで飲んだ紅茶が日本に帰ると違う味がする、というのはよく聞く話です。

筆者はそれを水のせい、とすることにしました。日本はイギリスに比べて軟水で、いつも飲んでいる紅茶を持ち帰って飲むと、渋味が強くでる気がします。またドイツに旅行の際もいつもの紅茶を持って行ったのですが、どうも味が違ったので滞在していた場所の水の硬さを調べてみると、ロンドンの家の地域よりも硬度がかなり高かった、ということがありました。

肌は乾燥し髪はゴワゴワになり、カルキはたまり洗濯物は黒ずむ、というなかなか手ごわい硬水の水道水ですが、紅茶を美味しくしているのであればまあ良いか、と思えるでしょうか。

またイギリスのパイ文化は、レストランやパブに行かずとも、スーパーマーケットの出来合い商品でも触れることができます。日本でインスタントラーメンを常備するような感覚で、冷蔵庫にパイを入れておいて、お腹が空いたらオーブンに放り込んで気軽に食べる、という使い方をしていた筆者は、日本でパイが見つからずに寂しい思いをしました。

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マーマイトやショートブレッドなど、その昔はお土産で買ってきて貰わなければ手に入らなかったイギリスの食べ物がありました。旅行がお金持ちの道楽でなくなり、オンラインで直接買い付けもできるようになった今、言ってみればイギリスから日本へのお土産選びが大変困難になったわけですが、それでもまだ、持ち帰ることのできない思い出をイギリスに見つけることはできるでしょう。

イギリスで暮らし始めて、手に入らずに苦労するものと同時に、イギリスだからこそ手に入りやすいものを発見して愛情を注ぎ込むのも、留学生活の充実感に関わってくるのではないでしょうか。

公共交通機関を乗りこなす

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24時間運転のバスがあちこちに走り、2016年からは週末に一部の地下鉄路線の運行も始まったロンドン。

特にセンター(街中)は 駅と駅の間隔が近く、地図で見るとなかなかの距離に見える移動も歩いて済ますことができることもしばしばです。また観光で訪れる際には乗りこなすのが少し難しいバスも、住み始めればかなり役に立つはずです。

毎年値上げしていた料金も、新市長が2020年までの一部凍結を決め、ちょっとしたバスの旅も新制度の導入で気軽に利用できるようになりました。物価の高さで身動きが取れないというイメージかもしれないロンドン生活ですが、基本情報を把握して、自信を持ってどんどん活用しましょう。

オイスターカード

ロンドンに着いてまず必要なのは、オイスターカード(Oyster Card)でしょう。日本でも浸透しているICカードで、電車、バス、トラム、はたまたテムズ川のRiverboatなど、ロンドンのあらゆる交通機関で利用することができます(ヒースロー空港からのヒースロー・エクスプレスなど高速の電車には使えません)。

購入は駅や、街中であればオイスターカードのサインが出ているコーナーショップで、またトップアップ(top up=日本でいうチャージ)は駅などの他、TFL(Transport For London)のサイトでカードの個別番号と自身の情報を登録しておけば、オンラインで自動トップアップの手続きすることも可能です。

最近ではコンタクトレス・カードといって、機械にかざすだけでPINナンバーの入力なしで課金制度が利用できるカードが銀行から発行されていますので、口座を開設してコンタクトレス・カードを使えるようになれば、わざわざオイスターカードを持ち歩いたり、トップアップの必要もなく利用できます。またApple PayやAndroid Payにも対応し始めたので、スマートフォンでコンタクトレスの乗車も可能になりました。

カードの購入やトップアップなど、慣れないうちは億劫かもしれないのにオイスターカードをお勧めする理由は、乗車の度に紙のチケットを購入する場合の半額くらいの価格だからです。チケットを購入すれば4.9ポンド(約700円)の中心地(Zone1)の移動が、オイスターカードを使えば約半額の2.4ポンドで済むのです。(2017年現在)

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基本として抑えておきたいのは、

  • 電車の乗車運賃は通過するゾーンによって変わってくるということ(Zone 1を通過するだけで高くなる)
  • 朝夕のラッシュアワーを避けたoff-peakタイムでは安く乗車できること(ピークタイムの設定時間帯は会社や路線によって異なる)
  • オイスターカードに入金されている金額が足りなくても、一回分は緊急時として使用することができること(入金額=バランスがマイナスになる。次の利用までにトップアップが必要)

などでしょうか。

語学学校などに入学して、週に15講義以上のフルタイムのコースを受講している場合は、写真付きの学生用ディスカウントカード(18+ Student card)を入手することができます。

実際にコースに通っているという証明が必要で、証明写真などを用意すれば学校が代理で手続きしてくれる場合もありますので、相談してみましょう。

通常の乗車(Single fare)に割引きはききませんが、一週間ごと、月ごと、一年単位の定期乗車料(情報はICカードに書き込まれますが、Travel Cardと呼ばれます)の支払いの際に、30%近い割引がききます。

またPay as you go(日本でいうプリペイド=先に入金しておいて利用の都度課金されるシステム=定期でなければこちらの利用法です)で乗車の場合は、daily capといって、一日(またはコンタクトレスの場合は一週間でも計算されます)に一定額(Zone 1-2なら6.6ポンド/日、33ポンド/週)以上利用すると、それ以上は課金されない仕組みになっています。

通常、オイスターカードをタッチするパネルは黄色です。脇にある緑のランプ点灯時に読み取り可能、電車など改札口がある場合はゲート入場と退場両方でタッチ、バスは乗車時のみ読み込ませます。

古い型の四角いバスでは前方から乗り込む際に運転席脇にあるカードリーダーにかざしますが、最近復活してあちこちで走っているルートマスター(Route Master=丸っこい車体と、後部にも扉があるタイプ)形の車両では、真ん中と後部の乗降口にもリーダーが設置されていますので、どこから乗っても自由、カードのタッチだけは忘れないようにしましょう。

Zone 2より外の、他の路線に乗り換えができる駅のプラットフォームには、ピンク色のリーダーがあります。

それはZone 1を避けた利用をする乗客向けで、例えば西から東へ行く時など、ロンドンの真ん中を突っ切ることが可能な旅程であっても、大回りの電車(Overgroundなど)を利用してZone 2だけ通って目的地に辿り着くような場合は、乗り換えの際にタッチしておくと、チャージされる金額が格段に安くなります。

ひと駅分でもZone 1を通る路線に乗ってしまうと無効になりますが、時間に余裕がある時などはプランを練って安く移動するのも手です。

バス、トラムに乗る

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バスとトラムの一回の乗車料金は1.5ポンドです。以前はバスの運転手に現金を支払って乗車することができましたが、交通渋滞を避けるため現在では現金は使用できません。

トラムの場合、オイスターカードなしでも券売機で紙のチケットを買うことができますが、その場合2.6ポンドもします。やはりオイスターカードが必要です。

バスでは時々、カードリーダーが壊れている時がありますが、運転手が「いいよいいよ」と乗せてくれたりしますので、その場合は一回分の乗車料が浮いた喜びを噛み締めましょう。

それとは逆に、料金をしっかり払ってバスに揺られている最中に、突然降ろされることがあります。”This bus terminates here. (ここが終点です)”と突然アナウンスされたり、目的地が掲げていた先と違う場所(途中だったり工事のための迂回だったり)に変更されるのです。

車両のトラブルの場合もあります。そのような時は、他の乗客の様子をしっかり見ましょう。大抵の場合、降ろされたバス停で次のバスを待つのですが、アクシデントの場合はバスが走行不可能となった場所(降ろされた場所)から最寄りのバス停まで歩かなくてはならないこともあります。

下車の際は運転手の脇を通ると良いでしょう。ロンドンの人でも知らない人がいるようですが「途中下車させられた証明チケット」をもらえば、乗り換えた次のバスにはそれを見せるだけで乗ることができます。

前を行く人が何ももらっていなくても、勇気を出して運転手に”Can I have a ticket for the next bus?”などと言ってみましょう。もし忘れても、他の乗客が既に説明して乗り込んでいたり、またはバス会社からの連絡で代理で送られたバスの場合は運転手も状況を把握しているので大丈夫な場合がほとんどですが、案外多いバスのトラブルに負けず、旅をコンプリートしてください。

またロンドンの新しい市長が、Hopper fareというシステムを導入しました。同じカードを使えば、1時間以内であれば2回分の乗車が1回分の1.5ポンドで済むのです。一度目の乗車の際にオイスターカードの残高が足りずにマイナスになっている場合は、Hopper fareが適用されない(オイスターカード自体が使えない)ので注意してください。

最後に、TFL内の情報ページへのリンクです。軽やかなロンドンの移動を楽しんでください。

次に来るバスのライブ情報を得られるスマートフォンのアプリもあります。