ロンドン留学の日々

イギリス・ロンドンの生活、文化、基礎知識を綴ります。留学・ワーキングホリデー・移住。

IELTS試験の基礎知識と勉強法

IELTS(アイエルツ)とは、International English Language Testing Systemの頭文字を取った英語能力検定試験になります。年間、およそ140万人の受験者がおり、海外留学や研修のための英語力証明として使われています。

イギリス留学希望者、特に学生ビザ(Tier4ビザ)取得をお考えの方は避けては通れない試験になります。

IELTSには実は2種類ありまして、1つはAcademic Moduleと呼ばれ、大学入学の際などに必要となるものです。もう1つはGeneral Moduleと呼ばれ、永住権やビザ取得の際に求められます。日本の受験者のほとんどはAcademicの方を受験されます。

受験方法

お申込みはオンラインまたは郵送となります。いずれの方法でも、お申込み時と受験当日には、本人確認の為、パスポートが必要になります。

インターネットでのお申込みの場合は、まずこちらのサイトからアカウントを作成します。そして、受験者情報を入力後、受験地とテストタイプ(モジュール選択)、受験日の選択を行います。受験地は東京や大阪をはじめ、全国15都市にあり、毎週実施しています。(※実施会場は試験日により異なります。)

お申込みは、試験日の3か月前から開始され、締切は5週間前の金曜日となっています。定員がありますので、お早目にお申込みされることをおすすめ致します。

お申込み内容を確認後は決済となります。決済方法はクレジットカード、コンビニ、郵便局ATMのいずれかを選択します。2014年10月時点での費用は25,380円となっています。

お支払が完了しましたら、「お申込を以下の内容で受け付けました」というメッセージとともに、整理番号、支払受付番号が表示されます。こちらの画面は印刷されるか、メモされることをおすすめします。

このネットでのお手続きの後、7日以内に必要な書類を送付します。必要書類は下記の2点です。

  • 6か月以内に撮影した証明写真×2枚
  • 顔写真とパスポートナンバー、有効期限が書かれたパスポートページのコピー

※パスポートはここで送付したものと、当日見せるものが同じでなければなりません。

申し込んだ受験日の2週間前くらいに受験票であるハガキが届きます。そこではじめて受験番号、試験会場、集合時間、スピーキングの日程と時間がわかります。無くさないように大事に保管しましょう。

郵送の場合は、こちらの「郵送によりお申込みの手引き」をご参照下さいませ。
http://www.eiken.or.jp/ielts/apply/pdf/ielts_apply_06.pdf

IELTSの構成

テストは、リスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つで構成されています。合計所要時間は約2時間45分です。

リスニング、リーディング、ライティングの筆記試験は同日に実施されます。各セクションの間に休憩時間はありません。スピーキングテストはIELTSの世界的な規定により、筆記試験の前後6日以内に行われます。通常、東京・大阪の試験では、筆記試験の翌日に実施されます。

各セクションごとに1~9のバンドスコアで点数が算出され、その4つのスコアの平均からオーバーオール・バンド・スコアが与えられます。ですので、合格、不合格はありません。

▼バンドスコアの解釈について 
http://www.eiken.or.jp/ielts/result/pdf/interpretation-of-ielts-bandscores-j.pdf

▼動画、IELTSの試験当日の流れ
http://youtu.be/nfedEbr3Kqs

テスト結果について

IELTS公式の成績証明書(Test Report Form)には、総合評価としてのオーバーオール・バンド・スコアと各パートそれぞれのバンドスコアがテスト結果として表示されます。

テスト結果は受験日から13日目に発行し、その後郵送で届きます。 オンラインからお申込みされた場合は、筆記試験日から13日目の午後7時より、オンライン試験結果表示サービスでもテスト結果をご覧いただけます。 テスト結果は2年間有効です。

IELTSの勉強法

IELTS(アイエルツ:International English Language Testing System)にはリスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4つの項目が含まれます。

合格不合格ではなく、各スキルの結果が1.0から9.0のバンドスコアで評価され、そこから総合スコアが同じく1.0から9.0で表されます。

入学の際に求められるバンドスコアは大学によって異なり、例えばオックスフォード大学は必要最低限のスコアを総合7.0、また各項目も7.0としており、ハートフォードシャー大学は総合6.5、マンチェスター大学は総合5.5と定めています。(必要スコアの情報は主にEntry Requirementsとして各大学のサイトで確認できます)

IELTS公式のバンドスコアの解釈は、6を「不正確さ、不適切さ、および誤解がいくらか見られるものの、概して効果的に英語を駆使する能力を有している。特に、慣れた状況においては、かなり複雑な言語を使いこなすことができる」と表しています(他のレベルはこちら)。

入学申請を進めながら何度か受験して、期限までに目標スコアに到達する学生もいますし、書類審査、面接を先に通過し、入学までにIELTSの適性スコアを取得して提出する「条件付き合格」を得られる場合もあります。

 
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イギリスに留学する際に必要なAcademic Moduleの受験に備えて、早くから取り組める対策、それは「慣れ」ではないでしょうか。

では試験の内容と慣れ方について、一通り見てみましょう。(IELTS試験概要についてはIELTSの基礎知識をご覧ください)

リスニング

リスニングでは、日常生活でありそうな場面(例えばレストランや病院で)を想定した会話とモノローグ、そしてアカデミックな(例えば学校の入学説明会で)会話とモノローグを、それぞれの項目ごとに「質問を読んで」「オーディオを聞いて(メモを取りつつ)」「答えを記入して」「確認する」時間を与えられます。

選択肢問題や文章を完成させるものは日本の受験生には馴染みがあるかもしれませんが、手強いのはグラフや地図の説明を聞き取るものでしょう。言葉で描写された図式を理解して、与えられた場所に情報を書き込むのは、日本語でも容易ではないと思います。

例えば「玄関を開けて正面に二階に続く階段があり、左手の最初のドアを開けるとリビングルーム、次の扉はキッチンに続きます。廊下の突き当りにはバスルームがあって、バスルームの扉の右手には物置があります。物置は階段の下に位置していて…」などと聞こえたもののメモを取るのです。

そして「二階の寝室の下に位置するのはどの部屋ですか」といった質問に答えます。その場合、頭にその図を浮かべて軽く間取り図を思い浮かべられれば楽になるというわけです。

情報を正確に聞き取るという課題ですので、様々なタイプの問題が満載のIELTS対策本などを購入して、練習を積むのが良いでしょう。またライティングのテストにも役立つので、目で見る図形を自分で英語で説明できるようになるのも有効です。

自宅の間取り、街中の地図、グラフなど、目にしたものを文章にして書き留める、口にしてみる、という生活習慣ができれば、人に怪しまれたり一日の時間が足りなくなってしまうでしょうが、それでもイギリスに来てからの生活にも役立つはずです。

リーディング

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リーディング部門では、本や新聞、雑誌の記事から2,150~2,750語を読み取り、60分間で解答まで済ませます。

専門知識の必要なく読み解けるはずですが「風力発電の普及率は…60000メガワットで…58%が…」などと言われれば思考がシャットダウンしてしまう人、「大脳半球は左脳と右脳に分かれており…」と聞いて心臓が止まる人もいると思います。

その場合「専門知識がなくても読める、読めるはずだ」と何度も自分に言い聞かせる他に、普段から新聞や雑誌を英語で読んで堅苦しい(ですが一般生活で登場する言葉)文字に慣れておくこと、語彙を増やすことでパニックを防げるのではないでしょうか。

例えば、日本語で調べものをしたら英語でも簡単な文章を読んでおく、というのはいかがでしょうか。

筆者は日本語でWikipediaを開いたら、必ず英語版も目を通して、知らなかった単語に一度触れておくことにしています。全く覚えられませんが、どこかで見たことがある、というと記憶が文章の繋がりやすいものです。

特にIELTSのような試験の場合は、解答の選択肢に何となくでも記憶にある言葉が見つかったりすると、本文の読解中に絡んでいた「意味がわからない」の糸がするりと解けたりすることもあります。

リーディングテストでは、短い時間で「概要を掴む」「詳細を理解する」「推論、行間を読み取る」「筆者の意見、執筆の目的を察知する」「論点の展開を理解する」ことが期待されています。IELTSの問題を解く練習と、さっさと読む練習をこつこつ続けるに限るでしょう。

ライティング

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ライティングでは、図やデータを分析して150語以上の文章にするものと、意見や議論を250語以上で書き出す問題があります。前者では情報を伝えるのですが、時に図に含まれた過程を説明することもあります。

例えば機械の部品説明の絵から「この部分で穀物をすり潰して、粉状になったものがこちらのパイプから吸い込まれ…」という作業工程を書き記すといった具合です。その場合、図には明記されていない「作業の描写」の説明が必要になりますし、わかりやすく伝えるためには工程の順序を読み取ることも重要になってきます。

後者の問題では、意見を述べるのに「Aは時間の短縮になるが、Bはコストを抑えることができる」というように事実の比較と検証をして、自分の見解に至った理由を後押しする必要があることも考えられます。

そして「現代社会ではこういう状況なので、より良い策としては…であると考えられる」などと、客観的な着地点を説明するための社会的な見聞を取り入れるスキルも重宝するでしょう。自分の意見をまとめるので正解はありませんが、文法や綴りの正確さに加え、論点を鋭く伝えられること、興味深い観点を提示することなどが重要でしょう。

日々の友人や家族との会話で自分の論点を伝える練習をすると鬱陶しがられると思いますが、論理的な思考と発言の習慣は、渡英後の学問(語学留学でも、授業中のディスカッションは必須です)、論文執筆、または日常の人との議論にも役に立つものです。

繰り返しになりますが、やはり練習問題に取り組み続けることと、思考の習慣をつけることが鍵となるでしょう。

スピーキング

スピーキングは、言わば面接です。時間は11分から14分間とされていますが、自己紹介、指定されたトピックについてのスピーチ、そしてその内容について面談者との議論で構成されます。

自己紹介では家族などのバックグラウンドの説明など、初対面の日本人にしたら込み入ったことに踏み込まれるかもしれませんが、話せることを予め書き出して練習し、自分が明かしたことについて突っ込んで質問された場合、さらに詳しく説明できるように準備しておくと良いでしょう。

もちろん「知らない」「答えたくない」という返答もありですので、その理由を添えられるようにしましょう。

発音がわかりやすいのに越したことはありませんが、それよりも「話し続けられること」が重要ではないかと思われます。例えば、答えに詰まってしまっても、黙ってしまう「今考えてますアピール」は通じませんが「どう説明したらいいでしょう、えーと(how should I explain …umm)」などと言葉で繋げれば、「話せる人」のように聞こえます。

必要なことを英語で言えるかどうか、と同時に、コミュニケーションする気があるか(意見があるか、ないならばないことを伝える意志があるか)が大切です。

必要なことを伝えること、意見をまとめられるようになること、これにもしつこいようですがやはり、慣れが一番でしょう。問題集の例題で練習を重ねる以外には、見るもの、思うことを英語でつぶやいてみる、テレビに英語で話しかける、聞かれてもいない問いに英語で答える、といった地味なアクティビティがオススメです。

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IELTSの試験勉強は、結果的にイギリスでの学生生活に役に立つことになるでしょう。筆者の場合は特に、IELTSのライティングの訓練をしていなければ、最初の学期から山のように課される大学の論文執筆がもっと大変になっていたと思います。

イギリス語学留学で、IELTS対策のコースを取ることも可能です。その場合、スピーキングは日本にいるより練習しやすいでしょうし、リーディング、リスニング、ライティングの問題のネタになるものも、日常生活のあちこちに転がっています。General Englishコースを終えてから、IELTSコースに進んでも良いかもしれません。

日常でできるIELTS対策は、英語学習の基本と通じるものであると筆者は考えます。ひとりで英語をつぶやいている自分に気づいて「クスッ」と照れ笑いする頃には、もう少し大きな声で誰かに英語で話しかけることが苦ではなくなっているでしょう。