ロンドン留学の日々

イギリス・ロンドンの生活、文化、基礎知識を綴ります。留学・ワーキングホリデー・移住。

日本では手に入りにくいもの

日本に帰国をする際、恋しくなるものは何でしょうか。筆者はイギリス生活を抜けて3年ほど日本に戻って暮らしたことがありましたが、日本では買うことができずイギリスを懐かしく思った食品がいくつかありました。

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まずは大型の朝食シリアル。特に業務用ということもなく700グラムの大箱(大きすぎて食料棚に収まりきらず、箱をカットすることもしばしば)が普通のスーパーマーケットに売っているイギリスから戻ると、日本の大きくて400グラムほどのシリアル業界に不満を覚えたものです。

ケロッグ社など日本と共通のブランドはありますが、日本では取扱のない商品もあります(逆も然りですが)。また日本で手に入らないわけではないのですが、イギリスでは気軽に買えるオーガニックのミューズリーなども、日本での値段の高さに歯ぎしりすることになります。

他に、日本で売っていないわけではないけれども安いイギリスを恋しく思う、という点では、片手一杯の束が1ポンドほどで手に入るパクチー(Corianderと呼ばれています)や、日本と比べるとたっぷり袋に入ったルッコラ(Rocketという名です)、マッシュルームや色々な種類のチーズなどがあるでしょう。

特にチーズなどは、日本のレシピで「チーズ」「とろけるチーズ」のように大雑把な名称をよく目にするのですが、イギリスでのチーズ生活に慣れてくると「チェダーチーズ?」「レスターチーズ?」と選択に迷うほどの種類があることに気づきます。

死活問題とは言えないのですが、そのようなものに気づいて以来、日本に帰ったら敷居の高くなるものを意識して、イギリスでの生活を満喫するようになりました。

イギリスでは、牛乳は主に3種類あります。赤い蓋のskimmed milk(無脂肪乳)、緑の蓋のsemi-skimmed milk(低脂肪乳)、そして青い蓋のwhole milk(全乳)、種類によって蓋の色が違うので、牛乳の種類というよりも「Blue Top」「Green Top」などとキャップの色で呼ばれるのを耳にするかもしれません。

「主に3種類」と述べたのは、オーガニック(こちらも3種類)ブランドなどがほとんど必ずと言っていいほど普通のものと並べて売られているからです。

また常温保存できるロングライフ商品もあります。小さくて1パイント(500ml弱)最大で6パイント(2.8リットル強)のプラスチックのボトルで売られています。

牛乳好きな筆者はいつも4パイント(2リットル強)のwhole milkを1ポンドほどで買っているので、日本に戻ると1リットルずつしか買えないことを面倒だと思ってしまいます。また何が違うのかはわかりませんが、 同じ全乳でも日本ではあっさりした味に感じるので、牛乳の味も違うものだなと思うのです。

さて紅茶も、やはり日本にないわけではないけれど、イギリスとは違うもののひとつではないでしょうか。

トワイニングやリプトン(スコットランド)など、日本製かと勘違いするほど気軽に日本で手に入れることができるものも多いですし、ハロッズやフォートナム・アンド・メイソンといった高級店の高級紅茶を街中で見かけることも珍しくはないとは思いますが、イギリスで飲んだ紅茶が日本に帰ると違う味がする、というのはよく聞く話です。

筆者はそれを水のせい、とすることにしました。日本はイギリスに比べて軟水で、いつも飲んでいる紅茶を持ち帰って飲むと、渋味が強くでる気がします。またドイツに旅行の際もいつもの紅茶を持って行ったのですが、どうも味が違ったので滞在していた場所の水の硬さを調べてみると、ロンドンの家の地域よりも硬度がかなり高かった、ということがありました。

肌は乾燥し髪はゴワゴワになり、カルキはたまり洗濯物は黒ずむ、というなかなか手ごわい硬水の水道水ですが、紅茶を美味しくしているのであればまあ良いか、と思えるでしょうか。

またイギリスのパイ文化は、レストランやパブに行かずとも、スーパーマーケットの出来合い商品でも触れることができます。日本でインスタントラーメンを常備するような感覚で、冷蔵庫にパイを入れておいて、お腹が空いたらオーブンに放り込んで気軽に食べる、という使い方をしていた筆者は、日本でパイが見つからずに寂しい思いをしました。

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マーマイトやショートブレッドなど、その昔はお土産で買ってきて貰わなければ手に入らなかったイギリスの食べ物がありました。旅行がお金持ちの道楽でなくなり、オンラインで直接買い付けもできるようになった今、言ってみればイギリスから日本へのお土産選びが大変困難になったわけですが、それでもまだ、持ち帰ることのできない思い出をイギリスに見つけることはできるでしょう。

イギリスで暮らし始めて、手に入らずに苦労するものと同時に、イギリスだからこそ手に入りやすいものを発見して愛情を注ぎ込むのも、留学生活の充実感に関わってくるのではないでしょうか。