ロンドン留学の日々

イギリス・ロンドンの生活、文化、基礎知識を綴ります。留学・ワーキングホリデー・移住。

バレンタインデーの過ごし方

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2月14日のバレンタインデーには、朝から近所のスーパーで花束を買う男性の姿を見かけます。

「近所のスーパー」「当日の朝」という寂しいキーワードが気になるかもしれませんが、義理チョコ、友チョコ、本命チョコなど、年々フォーマットが多彩化する日本のバレンタインデーとはまた違う、イギリスでのバレンタインデーのサバイバル法を紹介しましょう。

女性から?男性から?

まず、好意を伝える日として認識されているというのは日本と同じですが、女性から男性へというよりは、どちらかというと男性側にプレッシャーがかかるようです。

子供の頃には母親からバレンタインカードを受け取っていたという筆者の友人もいますし、もちろん女性からの贈り物もあるのですが、どちらの場合でも、恋人や夫婦など気持ちを確かめあった相手同士であるような気がします。

日本のように、勇気を出して愛を告白して相手の気持ちを探る、という冒険物語にはなりません。例えば異性の親友や長年連れ添った嫁に感謝の気持ちを伝える、祝い事にうるさい恋人を不機嫌にさせないように、といった具合です。

資本主義社会のビジネス戦法に惑わされる面倒な日、と捉える男性も多いようです。

日本に定着しているホワイトデーという習慣はないので、特にお返しを期待できる日もありません。

母の日に感謝の気持ちを伝えたことへの見返りの日があるわけではないのと同じだとは思うのですが、特に必要も感じていない祝いの日の朝に慌てて花を買いに行く男性の姿を思い浮かべると、微笑ましいやら切ないやら、複雑な気持ちになります。

もちろんこの日を楽しみにするカップルもいるでしょう。

花やワイン、素敵な贈り物、または愛を綴ったカードを届けて愛する人の喜ぶ顔が見たいという男性もいれば、せっかくだから素敵なレストランでロマンチックなディナーがしたいわね、と考える女性もいるでしょう(支払いは男性側になるでしょうが)。

興味深いと思ったのは、筆者の知っている女性同士のカップルがバレンタインデーは何もしないと言っているところ、男性同士のカップルは目をキラキラさせて色々な計画を立てていると教えてくれたことです(日本と同じで、眺めの良い展望レストランといったロマンチックな場所は予約でいっぱいになってしまうそうですよ)。

女性、男性の役割や感情を、型にはめてまとめることはできませんね。

何を贈る?

チョコレートを贈るというのはない話ではありませんが、気持ちを伝える手段は何でも良いようです。

花やカードが一般的でしょうか。一般的というよりも、便利と言ったほうが適切かもしれません。季節になると火花を散らす日本のチョコレート市場の熱狂的な商戦が、イギリスではこの2つの業界に(気持ちやんわりと)広がる感じです。

よって、バレンタインに向けて頭を悩ますならば、それっぽい体裁を整えるのに便利な上記アイテムが道を行くだけで簡単に手に入る、ということです。たとえ当日でも、近所のスーパーで。

イギリスで日本流バレンタイン

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現在よりもインターネットで得られる情報も少なかった昔に、日本人のボーイフレンドがいるイギリス人女性から「バレンタインには何を贈ればいいと思う?」と相談されたことがあります。

「日本では女性から男性にチョコレートを贈る」という習慣があることを知っていたのですが、贈るチョコレートの種類についての情報を仕入れたようで「わたしが彼に贈るのは本命チョコでいいのよね?」というような微笑ましい質問も飛び出てきました。

相手は習慣が違う国のあなたと付き合っているのだから、あなたが良いと思うものが一番だと思うと伝えたものの、義理チョコではなく本命チョコであることを示す方法を知りたい彼女は、日本では◯◯のチョコレートだと義理だと思われるらしい、本命はどこで買えば良いのか、などと頭を悩ませていたので、本音、建前、義理、人情、といった思考を説明するところから始めたのでした。

もしもイギリスに来たあなたが、日本でしていたようにバレンタインデーの義理チョコ、友チョコなどを友人たちに配りたいということであれば、背景とあなたの本意をきちんと説明できると良いでしょう。

何故なら日本の文化に中途半端に詳しい人が案外いて「日本人の女の子がバレンタインにチョコをくれた。日本人ではこれが慎ましい愛の告白の行為である」などと思われてしまう可能性もあるからです。

その結論を信じて疑わない人に、後から真意は違うことを伝える方が大変でしょう!

バレンタインデーやクリスマスのように、日本に伝わって今では本家とは違う形で存在するイベントごとをイギリスで体験する際には、こちらでの習慣を学ぶのと同時に、それが日本の文化としてどのように消化されたかを紹介できると面白いかもしれません。

またバレンタインデーはValentine’s Dayですので「’s」を発音するのを忘れないように!