ロンドン留学の日々

イギリス・ロンドンの生活、文化、基礎知識を綴ります。留学・ワーキングホリデー・移住。

ロンドンで安全に過ごすために

ロンドンでの生活に慣れない期間は気を張って、安全に気を配ると思います。

カバンの口が大きく開いていないか、財布が顔を出していないか、安全なエリアを通っているか。

ですが、かなり気をつけているようでも、日本では問題のないことがイギリスでは危うい行為になることもあります。

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例えば、荷物を置く場所。バックパックを自分の座っている椅子の背に掛けたり、通行人の手の届く反対側の椅子に置いたり、携帯電話をテーブルの上に置きっぱなしにしたり、またコートのポケットに電話を入れたまま椅子の背に掛けるのも、気付かずにやっている人が多いかもしれません。

空港でスーツケースから目を離してはいけない、とは耳が痛くなるほど聞く話ですが、よく見てみると背後や数歩離れた場所に残して何かに没頭している日本人らしき人がいます。

みんなと顔見知りになる語学学校の教室にカバンを置いていって、数分の休憩の間に大事なものを盗まれた人もいました。

外国にいる人が全員悪者、というわけではありませんが、どんなにガードを固くしても、窃盗が起こったというのはそれが可能な環境を提供したということですし、「まさか盗られるとは思わなかった」という判断はあなたの責任です。これは外国が悪い場所という話ではなく、習慣が違うということを念頭に置きつつ文化に合わせていく体験をするのがあなたである、と言えるでしょう。

ひとりでカフェに座って、おトイレに行きたくなった場合にバッグを置いて席を確保していくのは避けるべきでしょう。

きちんと目を合わせて隣の人に見張っておいてくれるようお願いする(”Could you keep your eyes on my bag while I’m going to the bathroom?”など)ことで、盗まれる危険は減るかもしれません。

隣の人を信用するかどうかはあなたの判断次第でもありますが、特に荒んだ地域にいるのでなければ、使える手でしょう。

危険なエリア?

危険なエリアというのは昔に比べて減っている、という話です。

筆者の友人のイーストロンドンの人たちは、10年前は歩いているだけでよくカツアゲされたし、ひとりではカウンシルフラット(行政運営の住宅で、主に生活保護=ベネフィットを受けている人たちに提供されている)の敷地を歩くことさえはばかられたけれど、今はイーストロンドンにはお金持ちのヒップスター(ファッション性重視でイーストがカッコイイ、と言って流れてきた若者たち)が住みついているので、それほど危険は感じないとよく言います。

筆者も最初にロンドンに引っ越した際、「行ってはいけないエリア」としていくつかの街を教えられ、その近くに行くときはドキドキしていたものです。

危険の認識は人それぞれでしょうが、危険だと耳にした場所に出向く必要がある時は、用事をこなす相手とは目的地ではなく電車の駅で待ち合わせして、ひとりで歩くのを避けるようにするべきです。

また男性でも女性でも、暗がりをひとりで歩くのは避けるに越したことはありません。英語が話せる話せないも問題ではありません。あまり有難くない目にあった人の話を聞くと、それが起こったのはいつでもひとりで無防備にうろついていた時です。

少し酔っている時、暗い公園をひとりでジョギングしていた時など、それはロンドンが危険なのではなくて、その状態で通るルートが間違っていたということではないでしょうか。

公共交通機関で

24時間走行のナイトバスが数多くあり、夜遊びの帰り道に苦労しないロンドンですが、ナイトバスを利用する際、どこに座りますか?

日中、二階建てバスの上階から街を見下ろすのは気持ちの良いものですが、夜に乗る場合は運転手の目が届く一階の方が安心でしょう。

車内にいくつも防犯カメラ(CCTV)が設置されているのは事実ですが、誰もいない二階での不安はもちろんのこと、混んでいたとしても大量の酔っぱらい集団の大騒ぎや、絡まれたりするのを避けるためです。絡まれると言っても、悪意のない場合もあります。

ですが数人のゴキゲンな酔っぱらいに「どこに行くの?一緒に遊ぼう」と迫られたり、家の目の前のバス停で降りようとする時に「ボクも降りちゃおう」などと言ってついてこられては、面倒なことになるでしょう。

善意の人も多いので、明らかに絡まれていることに気づいた誰かがそのような酔っぱらいを止めてくれる可能性もありますが、それも騒がしいだけになる二階よりも運転手の目が届く一階の方がありえると思われます。とはいえ、酔っぱらい文化は、外国だからというよりも世界共通でしょう。

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交通ルール

イギリスは日本と同じ左側走行なので、道を歩いていて思わぬ方向から来る車にぶつかりそうになることはないかもしれません。ですが、気をつけたほうがいいことに、横断歩道の通行があります。

ロンドンの人は、信号のない場所でも渡れるならば渡ります。

渡れないだろう、と思えるところでも何とかして渡ります。20メートルほど歩けば横断歩道がある場所で、バス停からまっすぐ渡った先の自宅に帰りたいおばあちゃんが、止まらない車の流れに杖を振り回してイライラしている、という姿を、昔住んでいた家からよく見たものです。

「相応しくないかもしれないけれども、できるかどうかやってみよう=怒られたら止めればいい=怒られなければ問題ない」というロジックが働いているように思えます。

歩行者用信号機の読み方は日本と同じですが、信号がない場所で、縞々のラインに、道路両脇でポールについた黄色いランプが点灯する場所を見たことがあると思います。

ビートルズの有名なアルバム「アビー・ロード」のカバーで、4人が渡っているのがそれです。

これはゼブラクロッシングと呼ばれている横断歩道で、人が渡ろうとしている場合、これの前では車は必ず一時停止しなくてはなりません。

つまり、渡らないのにそこに立っていると、走行する車を停止させてしまうのです。

ビートルズのファンがアビー・ロードのあの横断歩道を渡る写真を撮ることができるのは、彼らが渡り始めると車両が必ず止まるからです。

そして地元の人に鬱陶しがられるのは、用事があって通らなければならない道が、際限なくなだれ込む歩行者の無法地帯になっているからです。

というわけで、ゼブラクロッシングの周りを歩いていても、渡らない時はドライバーに向かってそのような意思表示をすると親切かもしれません。

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また、車用の信号機は日本と同じ三色で青(グリーンです)→黄色(アンバーと呼ばれます)→赤となるのも同じですが、赤から青に変わる際にも一度黄色になります。

つまり、車が走り出す青信号になる前に知ることができるのです。

ですから、目の前に大きなトラックが止まっていて歩行者用信号が見えない場合などには、車の信号を確認して、赤から黄色に変わったら渡るのをやめる、という判断に利用できるでしょう。

自転車は車と同じルールが適用されます。

最近では自転車用のレーンがあちこちに整備されて走りやすくなりましたが、自転車に乗っていて忘れがちなのが、緊急車両が近づいてきた時に一旦停止することです。

救急車やパトカーのサイレンがあれば、車ならば端によって停止して道を開けるのは慣れたルールかもしれませんが、自転車も、また緊急車両が突っ切ろうとしている横断歩道を渡っている最中の歩行者も、動きを止める必要があります。

歩行者に違反切符はないにしても、サイレンが近づく中「まだ余裕があるから渡っちゃおう」という出来心は抑えましょう。

市民の銃の保持もなく、安全・衛生法(Health and Safety)にうるさいイギリスでは、危ない目にあった人より、身の危険を感じたことがないという人のほうがもしかしたら多いかもしれません。

ですが習慣が違う国であることは忘れずに、持ち物と身の置き場所には常に意識を巡らせて、あなたにとって万全の環境を保っていきましょう。