ロンドンの天気
ロンドンの天気は変わりやすいと言いますが、変わりやすいことなら分かっているのにみんな天気予報をチェックして、信頼して、「全然当たらない」と文句を言うものです。
天気の確認によく使われるのはBBC Weatherのスマートフォンのアプリやウェブサイト(リンク)で、サイトであれば右上のサーチボックスにエリアやポストコードを入力すれば、自宅周辺、学校周辺など狭い地域の予報が見られます。
どうせ予想外に雨が降ったり止んだりするのであまり細かく見なくても良いのではないかと思いますが、自宅は大雨に見舞われているのに、5キロ程度離れた場所がカラリと晴れていてその後も全く雨の気配がない、などということもあるので、なかなか便利です。
ロンドンは雨が多い?
ロンドンは雨が多いという話をよく聞きます。
様々な国から来た人が集まる街ですので「ロンドンに来てあまりに雨が多いので生まれて初めて傘を買った」と言った人がいましたが、筆者は「ロンドンに来て傘が要らなくなった」と思いました。
日本では梅雨はもちろん、それ以外の季節でも一度雨が振り始めたら一日中、または数日間に渡って本格的に振り続けるような気がします。
「本格的に」というのは、傘を差さなければずぶ濡れになるくらいということで、一日降り続くものですからその後に濡れた服が乾くことがない、というレベルです。
ですがロンドンでは、確かに予想外のシャワー(にわか雨や夕立)は多いものの、雨降りが一日続くことはそれほどないのです。また空気が乾燥しているので、雨に濡れた服もしばらくすると乾いてしまいます。
ですから、突然のにわか雨に遭遇しても「ちょっと雨宿りしているうちに何とかなる」という感じで、実際にその10分後には晴れ間が覗いたりするのです。
つまり、傘がなくてもお店や誰かの家の軒先、またはそこら中に茂る木の下に駆け込めば良く、その屋根の持ち主も特に客ではない人が雨宿りしていても気にしません(ですから堂々と雨宿りできます)。
さらには、傘を持っていても面倒だから差さない、もしくは(特に男性などは)傘を差す程の雨ではない(男が廃る、といった気合で)と言って聞かない、という人もいます。よっぽどの大雨の予報でなく「雨が降りそう」程度の日は、フードが付いたものを着て解決する模様です。
実際、ロンドンと東京では後者の方が年間降水量が2.5~3倍も多いそうです。その統計を目にしてから「ロンドンは雨が多いから」と文句を言うイギリス人を、優しい目で見ることにしています。
ロンドンの四季
天気の良し悪しの基準は難しいところですが、夏は涼しく冬は緯度の割に暖かいので「年間を通して過ごしやすい天気」と言えるのではないでしょうか。
ただ冬の日照時間はかなり短く、午後3時を過ぎたら暗くなってしまう時期もあるというのが残念ですが、その代わり夏場には午後10時ごろまで明るいので、夏を心待ちにしてやり過ごせば良いでしょう。雪もたまに降りますが、2010年の大雪ほどの大混乱は昨今ありません。
夏は18度から25度くらいの過ごしやすい温度で、一般家庭にはほとんどエアコンはありません。暑ければ外に出て木陰に座れば快適ですし、ショッピングセンターなどに出かけて冷気を浴びる方法もあります。
ですが日光を重宝するイギリス人は、木陰とは言わず日光浴に勤しむ方が一般的でしょう。年に一日か二日ほど30度近い、または越える日がありますが、そんな日は誰もがこぞって天気予報アプリのスクリーンショットをSNSサイトに投稿するので微笑ましく感じます。
花粉の種類は違うのかもしれませんが、ロンドンでも花粉症に苦しむ人がいます。日本と違って鼻をすするのは嫌がられるので、 春から初夏にかけて盛大に鼻をかむ人の姿を目にすることもあるでしょう。
夏時間
春(3月)と秋(10月)の最終日曜日、夏時間(Summer TimeまたはDaylight Saving Time)の開始と終了に合わせて時計の調節が行われます。
春には日曜の午前1時に時計を一時間進め、秋には日曜の午前2時に一時間戻します。つまり夏時間が始まる日曜日は睡眠時間が一時間削られ、冬に入る日曜日には一時間多く眠ることができるのです。
日本との時差は、春夏は8時間、秋冬は9時間となります。最近はロケーションを設定しておけばコンピュータやスマートフォンが自動で調節してくれるので、意識していなければいつかは気付くと思いますが、テレビを見たりインターネットでニュースに接する人も、今夜だなと感づくはずです。
今年の日程、時計を進めるのか戻すのかを知りたいときは、こちらのサイトがわかりやすくて良いと思います。
長らく世界の標準時の基準に使用されていたので目にしたことがあるかもしれないグリニッチ標準時(Greenwich Mean Time)の表記「GMT」ですが、夏の間はBST(British Summer Time)と表されます。
大気汚染と天気
ロンドンが霧の都と言われたのは、産業革命から石炭利用などによる大気汚染のせいですが、現在でも「日の出時刻は午前8時過ぎ、真っ暗な中を通勤する」といったロンドンの冬の辛さを強調する朝の霧は健在ですし、時に1メートル先が見えない程の濃霧に包まれる日もあります。
ロンドンの大気汚染は未だに大きな問題ですが、1952年の1万人を越える死者が出たロンドンスモッグ(The Great Smog of 1952)を経て環境問題の改善に取り組んできたイギリスでは、特に21世紀に入ってから行政や市民の 意識も高まっています。
ゴミのリサイクルを推し進め今では多くの人が分別をしている(リサイクルと普通ゴミという大雑把な分け方で、リサイクルとして収集されたものがほとんど再利用されていないというレポートがあったことはさておき)他、排気ガス削減のため自転車を推奨し、ロンドン中で自転車専用レーンの設置が進み、至る所でレンタルバイクが提供されていると合わせて、環境への負担が著しい大都会の実情も少しずつ改善に向かっていると信じたいところです。
9月にも何日か夏日があり、10月になってもまだコートも要らない暖かい日が続いた2016年でしたが、年々夏が長くなっている気がするのとあわせて、気候変動(climate change)という言葉が頻繁に会話に登場します。
世界的な社会問題に対する自分の意見を構築しておくのも、長い冬を過ごすひとつの方法かもしれません。