ロンドン留学の日々

イギリス・ロンドンの生活、文化、基礎知識を綴ります。留学・ワーキングホリデー・移住。

ロンドンのロイヤルパーク(王立公園)

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ロンドンには8つのロイヤルパーク(王立公園)があります。

中心部にハイドパーク(Hyde Park)とケンジントン・ガーデンズ(Kensington Gardens)、クリーンパーク(Green Park)、セント・ジェームズパーク(St. James’s Park)、ノースロンドンのリージェンツパーク(Regent’s Park)、そして西部郊外のリッチモンドパーク(Richmond Park)とブッシーパーク(Bushy Park)、テムズ川南東部のグリニッチパーク(Greenwich Park)です。

元々は王室の余暇用(主に狩猟用地として)として所有されていたのですが、ロンドンの都市化を考慮して、公共の公園として開放されるようになりました。

日本の公園では芝生内は立入禁止という札をよく見かけますが、ロンドンの大きな公園では歩道に沿って歩いていては日が暮れてしまうかもしれません。とは少し言い過ぎですが、都会の喧騒を逃れて芝生の上でくつろぐことが至極の余暇でもあります。

大人だから、このような格好をしているからなどと周りの目を気にする必要もなく、のんびり過ごす(またはジョギングしたりバドミントンなどスポーツをしたり)ことができる空間をいくつかご紹介します。

ハイドパークは、142ヘクタール(1.4平方キロメートル)の敷地に4000本以上の木と巨大な池、ボート乗りやアイススケート(こちらで紹介したウィンター・ワンダーランドにて)もでき、乗馬や子供用のエリアもあるロイヤルパークです。

11世紀のノルマン朝時代より前からウェストミンスター寺院の所有だったのですが、1536年にヘンリー8世がハンティング用の土地として買い上げ、1637年にチャールズ一世が一般に公開してから市民に親しまれる公園となりました。

サーペタインとロング・ウォーターという湖を堺に分けられている西側の隣のケンジントン・ガーデンズと合わせると253ヘクタールとなります。

面積を表すのによく東京ドーム何個分、と言われますが、東京ドームの大きさを把握している人は一体どれくらいいるかという疑問はさておき、約50個分だそうです。東京ディズニーランドは約5個分、府中刑務所の約10個分、ほとんど参考にならないと思いますが、とにかくかなりの広さです。

公園内には、故ダイアナ妃のメモリアルや毎週日曜日に人々がお立ち台に上がって持論を披露するスピーカーズコーナー、ロンドンのホロコースト・メモリアルなど観光で訪れる人々に人気の名所も多くあります。

夏には湖の周りにデッキ・チェアに寝転がって日光浴を楽しむ人、家族連れでピクニックをするグループ、ビキニ姿でビーチボールを楽しむ若者など、自由な形で都会の中の自然を満喫する人々を見かけます。

ほとんどが犬のリードを外して自由に走らせて良いエリアなので、落とし物には注意が必要ですが、夏の暑い日でも木陰にごろりと寝転べば、エアコンのない家の中よりも快適に過ごすことができるでしょう。

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ペリカンでお馴染み(鳩を飲み込む姿を捉えたビデオが話題になりましたが、毎日午後2時半、餌やり風景を見ることができます)のセント・ジェームズパークは、ダウニング・ストリート(首相官邸=No.10と呼ばれます)からほど近く、バッキンガム宮殿を挟んだ西側にあるグリーンパークは日本大使館の側にあります。

まさしくロンドンの中心地に位置するので、用事のついでに寄ったことがあるという人も多いかもしれません。特に「公園に行こう」という計画を立てなくても自然の中での和みの時間を持てるのが、ロンドンの良いところでもあるでしょう。

敷地内にバラ庭園や動物園(London Zoo)、5月末から9月初頭にかけて開かれる屋外劇場、大学の校舎もあるリージェンツパークは、ザ・ビートルズの”The Fool on the Hill”他、多くの音楽に登場するプリムローズ・ヒルと繋がっています。

この2つの緑地帯(王立公園と指定保護地域)の間には、バーミンガムからオックスフォードを通ってテムズ川と繋がる、220キロの長さのグランドユニオン・カナル(運河)の一部であるリージェンツ・カナルが走っています。プリムローズ・ヒルは高級住宅エリアですが、訪れる誰もが、ロンドンの街を見下ろす絶景を目にすることができます。

またトラファルガースクエアからほど近いハムステッドヒース(Hampstead Heath)はロンドンで10本の指に入る高台にあり、プリムローズ・ヒルより広範囲でロンドンの街並みを眺めることができるでしょう。

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公園では日本では見ない動物、鳥、植物などに加え、リスや白鳥を見かけることが多くあると思います。

人懐こく、エサをやるふりをするだけで近寄ってきたりするグレイ色のリスは、外来種です。元々イギリスに住みついていた赤いリスは劇的に減少し、現在のロンドンではほとんど見ることができません。グレイ色のリスに比べて臆病なので近寄ってくることはないかもしれませんが、イギリス北部にはまだ存在するようなので、見かけたら驚かさないようにそっと喜んでください。

さて1981年の野生動物とカントリーサイドの条例により保護されている白鳥ですが、数年に一度、白鳥を持ち帰って料理したりバーベキューをしたとして罪に問われる人が現れます。

白鳥はそもそも女王の所有物なので、殺したり持ち帰ったりしてはいけません。渡り鳥の所有権とは微妙な話ですが、12世紀に定められた法律が未だに有効です。白鳥を傷つけた場合も犯罪となりますので、気をつけましょう。

都会の中に存在する緑に囲まれた広大なスペースを無料で自由に利用できるということは、生活に公園が根付いているということでしょう。

みなさんもロンドン滞在中、家から近い、学校から近い、などの理由でお気に入りの公園を見つけることになるかもしれません。

スクエアやグリーンという名で、住宅街やビル群の中に小さな公園が存在することもあります。お気に入りのベンチやお気に入りの木の下など「いつものスポット」ができる頃には、あなたもロンドナーの一員になっていることでしょう。