ロンドン留学の日々

イギリス・ロンドンの生活、文化、基礎知識を綴ります。留学・ワーキングホリデー・移住

新聞を読む

日本では、新聞は定期購読して毎日家に配達されてくるのが一般的ですが、イギリスでは、外に出かけて手に入れるものです。個人商店やスーパーマーケット、WHSmithといった文具や雑誌などを扱う小売店で購入できます。

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フリーペーパー

特に平日は無料新聞が配られており、電車の駅構内に置いてあるメトロ(Metro)を手に取ったり、ロンドンでは夕方に駅の外や人通りの多い場所で配布されるイブニング・スタンダード紙(London Evening Standard)を受け取って、その日のニュースからテレビ情報までを把握することが多いようです。

山積みされたものを見つけたり、配っている人に差し出されたらとりあえず手に取ってみるとよいでしょう。イブニング・スタンダードは夕方発行なので、テレビ欄は夜放送の分しかありませんが、映画情報やコメディ劇場、ライブ情報など当日または直近のおでかけプランにも役立ちますし、雨の日にバッグに入っていれば、濡れたベンチで座布団代わりに使ったりもできます。

電車の中で読み終わったら椅子の上に置き去る人、それを拾って読む人を見かけると思います。時には堂々と隣の人の新聞を覗き込む人もいますが、何しろ無料なので「盗み見している/されている」という感覚もないのでしょう。

プライドが高く、社会的な体裁を気にするイギリス人を想像していると、微笑ましい光景に見えるかもしれません。

タブロイド紙とは

上記の無料新聞はどちらもタブロイド紙と分類されるものです。タブロイド紙とはそもそも「タブロイド判」という新聞紙のサイズの分類の名称だったのですが、この手の型のメディアがこぞってゴシップ情報などを中心に扱っていたために「大衆紙」の代名詞のようになりました。

タブロイド紙は他に、UKでの売上一位のザ・サン(The Sun)、二位のデイリー・メール(Daily Mail)、さらにデイリー・ミラー(Daily Mirror)、デイリー・スター(Daily Star)、デイリー・エクスプレス(Daily Express)などがあります。デイリーの名の通り毎日発行ですが、それぞれ日曜版もあります。

新聞の政治的見解

イギリスの新聞はタブロイド紙であっても政治的意図が明確にされています。

例えば保守党(The Conservative Party)を支持するサン、メール紙は右翼(Right-wing)、労働党(Labour Party)を支持するミラー紙は中道左派(Centre-left)、エクスプレスはUKIP(イギリス独立党)を支持する右翼、EU懐疑主義(Eurosceptic)です。またモーニング・スター紙(Morning Star)は左翼(Left-wing)で社会主義(Socialism)推しです。

デイリー・スター紙は政治色をほとんど示していないようですが、だいたいの場合、手にする新聞で思考を推察できるので、話題選び、または話題にしない事項選びに役に立つかもしれません。

政治の話題を嫌がる人もいますが、親しい仲になると支持する政党を聞かれて隠す人は少ないような気がします。「あの人テレグラフ読んでるから…」などと、購読する新聞で人を判断する話を耳にしたりもします。外国人である日本人とは、政治に関する意見で仲違いすることは稀だと考えて良いとは思いますが…。

「普通の新聞」は?

タブロイド判と分けて、ブランケット判(broadsheet)として認識されているのは右・保守派のテレグラフ紙(The Telegraph)、中道右派のタイム紙(The Times)、中道左派のオブザーバー紙(The Observer)とガーディアン紙(The Guardian)、そしてファイナンシャル・タイムズ(Financial Times/FT)などです。

経済的自由主義(Economic Liberalism)を謳うFT紙は、2015年から日本経済新聞社の所有となりましたが、政治的には中道派(centrist)を掲げているようです。

これらもそれぞれ日曜版も発行しています。

オンラインで新聞を読む

現在ではどの新聞もオンラインで記事を公開しています。クロスワードバズルや数独(Sudoku)も載っていますし、スポーツ、経済、環境など求める情報にすぐアクセスできる(新聞として考えると便利に思えるのですが、ウェブサイトとしては普通の機能ですね…)ので、一度インターネットで好みの新聞を見つけたならば、日々飽きずに隅々まで楽しむことができるでしょう。

またツイッターのハッシュタグ「#tomorrowspaperstoday」で検索すれば翌日の各紙の一面を夜の間に見ることができるので、特に興味が湧いた新聞を朝一番で買いに行くこともできます。

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新聞の未来?

ロンドンの筆者の周りの若い人の間では、新聞と言えばほとんどの人がメトロやイブニング・スタンダード紙で済ませているようです。またはニュースはオンラインで目を通しているか、時々FTや「i」紙を買うという人もいます。

そんな中、友人のおばあちゃんは毎週日曜日にサンデー・ミラー紙を買いに出かけています(サンデー・ペーパー=日曜日の新聞を買いに行くと言います)。普段の情報はテレビとインターネットで仕入れており、一週間分のテレビ情報とクロスワードパズルが週に一度のお楽しみのようです。

テクノロジーの進化とインターネットの普及を経た時代の変化で、紙の媒体への需要が減っているのは日本もイギリスでも同じかもしれません。

1952年から続いていた権威ある音楽雑誌NME(New Musical Express)も、2015年からフリーペーパーとして無料配布され始め、主にオンラインでの情報提供へと形を変えました。

金曜の早朝の駅前で、音楽には全く興味のなさそうなおじさんが疲れた声で「New Musical Expressどうぞ」と差し出してくる薄い冊子を受け取る度に、時代は変わったなと思うのです。

メトロ紙の刊行は1999年から始まり、初版1827年発行のイブニング・スタンダードは2009年から無料配布となりました。

日本では、インターネットのなかった時代から新聞購読の習慣を続ける読者が多くいると想像できますが、その都度買いに行くイギリスでの新聞事情は、ここ20年で大きく変化したのではないでしょうか。

サンデー・ペーパーを楽しみにする友人のおばあちゃんは、もしも紙の新聞が廃止となれば寂しい顔をするかもしれませんが、クロスワードもインターネットでできるので、すぐに順応する気がします。