ロンドン留学の日々

イギリス・ロンドンの生活、文化、基礎知識を綴ります。留学・ワーキングホリデー・移住。

日本食が恋しい時

1

 
限られた生活費で食い繋いでいかなくてはならない留学生活。ラーメン屋さんや庶民的な価格設定の日本食レストランも増えましたし、昨今の日本食ブームの定着で日系のお店に行かなくとも普通のスーパーマーケットやテイクアウェイでお寿司などを手に入れることができるようになりましたが、それでもラーメンに10ポンドも出すのは財布が許さない、「人参入りの手巻き寿司風の何か」をお寿司と呼ぶわけにはいかない、という人もいることでしょう。

そのような場合は、自分で日本食風の何かを安く作るという方法があります。そもそも日本と違って硬水であるため出汁をとるのからして難しいという話もありますが、そうは言っても、嬉しいことに自炊での日本食作りも大変楽になってきました。

日本の食材を買うことができる店は、ロンドンであれば幾つか選択肢があります。

まずは中心部にあるJapan CentreRice Wine Shop、西部・北部などに店舗を構えるAtari-Yaといった日系のお店に行く、またはオンラインショッピングを利用するというのが簡単でしょう。

ですが少々値が張りますので、筆者の場合は日本から買ってくることができなかったものや緊急で必要なものなどを買いに行って、予定していなかったものまで購入してあとで頭を抱える、という使い方をしています。

このようなお店ではほとんど何でも手に入ると言っても差し支えないでしょう。調味料から冷凍食品、お米や長芋などのお野菜、手作りお惣菜などの他、イギリスのお肉屋さんでは売っていない薄切り肉やお刺身を扱っているお店もあります。ですから、ロンドンの日本食生活はほぼ安泰です。

またTescoやSainsbury’s、Morrisonsなど「いつものスーパーマーケット」にも、今や必ずと言っていいほどアジアン・コーナーがあり、キッコーマンのお醤油や、イギリスで日本食の輸入業を営むTazaki FoodsのブランドYutakaの商品などを気軽に買うことができます。出前一丁のようなインスタントラーメンや日本のビールも、特にアジアと構えてもいない普通のコーナーで売られていたりします。

筆者は、ごま油はわざわざ日系のお店の日本のブランドを買わずに各スーパーのブランドのToasted Sesame Oilで済ませますし(ゴマ:sesameも買えます)、お米もSushi Riceとしてスーパーのアジアン・コーナーで売られているものよりも、イギリス人がライス・プディングという甘いおかゆ的デザートを作るのに使用するPudding Riceで代用しています。Basmati米など美味しくて安い長粒米もありますが、日本のお米が恋しい時はねばりがでる短粒米が役に立ちます。

そして500グラム1ポンド程のプディングライスのお得感。特にフラットシェアなどで5キロのお米を保管するスペースがない生活の場合や、気前よく買った日本米完食時の緊急ライスとしてもおすすめです。筆者は話に聞いていたこの商品がアジア食品コーナーにも穀物コーナーにも見つからず、やはり日本の皆さんが通うWaitroseやMarks & Spencerのような少し高級なスーパーに行かなくてはいけないのか…と庶民の味方の安スーパーの片隅で途方に暮れたことがありましたが、デザートコーナーを探してみると良いでしょう。だいたいスーパーのオリジナルブランドが少なくとも一商品は扱われているでしょう。

2

 
普通のスーパーでは、他にもネギの代わりに使えるspring onion(またはsalad onionとも呼ばれる)や、キャベツも手に入ります。日本のような丸いキャベツはどの葉をとってももれなく固く、火を通す以外に方法が見つかりませんが、写真のように先が尖ったsweetheart cabbage(またはpointed cabbageという名)は、千切りにして生で食べたり、日本のキャベツと同じ使い方をすることができます。

また、どうしても今日だけは薄切り豚肉でなくてはイヤ、というときにはunsmoked bacon(スモークされていないベーコン)がまあまあ良い仕事をします。ベーコン感は拭えませんが、普通のベーコン(smoked bacon)ほど塩辛くないので、多少煮込んだり味付けをしても食べられるレベルだと判定しました。

そして生っぽい海の味が欲しい、という時には。スモークサーモンがなかなか役に立ちますが、筆者はよくtrimmed smoked salmon(切れ端)を買います。

スモークサーモンと同じコーナーに小さめのパックで並べられており、かなりお安く売っています。刻む必要がないので、空腹で日本食レストランの脇を通って帰宅した時などの緊急時、パックを開けてそのままネギやごま油と和えて冷凍しておいたご飯に乗せて食べたりします。

鯖(mackerel)やマス(trout)などをスモークしたものも、真空パックで2ポンド程で買うことができますので、フライパンで炒めていつも見る野菜のお浸しのような日本風の付け合せを添えれば、食卓はほぼ和になるでしょう。

もやし(bean sprouts)や生姜、白菜(Chinese cabbage)も普通に売っていますし、少々大味で水っぽい巨大キュウリ、皮が固いので少し長めの調理が必要な特大なすびにほうれん草(サラダ用に葉っぱの部分のみパックにされていることが多い)なども「いつものスーパー」で手に入るものは本当に多いので、醤油や出汁のもとなど基本の調味料があれば、日本の味は夢見るほど遠くはないでしょう。

最後に、チャイニーズ・スーパーマーケットに行くという方法もお伝えしておきます。大根や日本風の梨(最近ではよく普通のスーパーでも見かけますが)などの他、うどんや素麺なども数種類の取り扱いがあったり、イギリス系のスーパーでは滅多に見ない丸ごとのイカやカニなども売っているかもしれません。調味料やスナック菓子も、日本を思い出させる味が少し安めに手に入るので、近所にあれば是非活用してみてください。

次の帰国時まで、あなたの胃袋がホームシックになりませんように。