ロンドン留学の日々

イギリス・ロンドンの生活、文化、基礎知識を綴ります。留学・ワーキングホリデー・移住。

イギリスの基礎知識

国名 グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(通称:イギリス/英国)
首都 ロンドン
政体 立憲君主制、議院内閣制、EU加盟
人口 およそ6318万人
通貨 イギリスポンド(£)※日本円にして£1=約137円※2017年4月12日現在
日本との時差 -9時間
言語 英語(公用語)、コーンウォール語、ウェールズ語、スコットランド語、ゲール語、アイルランド語
宗教 英国国教会など、キリスト教徒が約72%、無信仰約15%、ムスリム約3% など
観光ビザ 観光目的の旅であれば、通常は6か月以内の滞在についてはビザは不要。パスポートの残存期間は、滞在期間以上あればOKだが、6か月上が望ましい。

イングランド

イギリス国内では、人口がおよそ5300万人と、最も多い地域で、全体のほぼ90%を占めます。ロンドンは、金融、経済、エンターテイメントの中心地で世界的にも有名な国際都市であり、留学先としては、最も人気があります。そのほかの都市としては、バーミンガム、ブリストル、ブライトン、リバプール、マンチェスター、ノッティンガム、ニューカッスル、ヨークなどがございます。

ウェールズ

ウェールズは、ロンドンの西およそ200キロに位置しています。リヴァプール湾、カーデガン湾、ブリストル海峡に囲まれており、国土の大部分は山地です。主な都市は、カーディフ、スウォンジ、レクサム、ニューポートなどがございます。
ウェールズでは、英語と並んでウェールズ語が公用語とされています。南部ではあまり話されていませんが、中北部では日常的に話されている地域が多いです。しかし、ウェールズ語を話せる人口は年々減少しています。
ウェールズに住む人々は、ウェールズ訛りの英語を話します。

スコットランド

スコットランドはイギリスですが、法制度、教育制度および裁判制度は独立したものになっています。また、元々は王国であったため、独自の文化が発達しています。
首都は、エディンバラでヨーロッパ最大の金融センターのひとつです。最大の都市は、グラスゴーで、人口の40%がここに集中しています。この2都市が留学生の人気の都市にもなります。
ゲール語やスコットランド語が英語と並んで、使われているため、この地域の英語はスコットランド標準英語とも呼ばれています。

北アイルランド

アイルランド北部に位置しており、アイルランド共和国と国境を接しています。人口はおよそ168万5000人と4つのカントリーの中では最も小さくなっています。首都はベルファストで、その住民は24万人あまりです。
かつて、アイルランドとスコットランドからアメリカに移民が沢山渡りました。そのため、この2つのカントリーの英語の発音は、アメリカ英語と共通点が多いのです。アメリカ英語に慣れている日本人には、意外と聞きやすく感じるかもしれません。

イギリス人のイメージって・・・?

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イギリス人に対してのイメージはどんなものでしょう。(ここでは主にイングランドとします)

紅茶を飲む、ガーデニングに夢中、天気の話をする、紳士的…?

移民の多い国ですので、アイルランド系のイギリス人、イタリア系のイギリス人、インド系のイギリス人、ジャマイカ系のイギリス人など、育った家庭、またはコミュニティによってそれぞれ違うと言えばそうなのですが、ロンドン暮らしの筆者が出会った人々はだいたい、上記に当てはまります。

家に着くととりあえず紅茶、休憩するのにとりあえず紅茶、特に理由はないけれどせっかくだから紅茶。親友のお母さんは家の前に見事な花壇を作っていましたし、それがコミュニティのガーデン賞を受賞して結構な額の賞金を与えられていましたので、ご近所さんも常々人の家の庭に注目しているからこそ、評価に繋がったのだろうと思われます。

またロンドンで暮らし始めてしばらくしたころ、本当に、会話にしばしば天気の話題が登場することに気づきました。ロンドンの天気は変わりやすく、雨が降ったと思ったら10分後には晴れ間が覗いていたり、朝は生ぬるい気温だったのに夕方には震えるほど寒くなったりします。

それがあまりに普通のことですので、特にドラマチックに捉えているわけではないのですが、人と会って挨拶代わりに「さっきまで暖かかったのにね」「昨日までの天気が信じられないね」などと、互いに認識していて異論の唱え様のない言葉のやり取りをするわけです。

もしかしたら、特に掘り下げて聞く予定もない「元気?」や、あまりに意味を込めない言い回しなので英語で説明しようとすると苦労する「お疲れさま」と同じ使いみちなのかもしれません。

さて、イギリス人が紳士的かと言えば、それがここまでで述べた中で最も「人それぞれ」の定義が当てはまるところではないでしょうか。

スーツケースを抱えて階段で途方に暮れて立ち止まっていると、どこからともなく紳士(に見える)が現れて手を貸してくれる、などということが身に起こった人もいることでしょう。

後ろに続く人のためにドアを開けておくことなどは、男女問わずよく目にする行動ですが、何もしないで通り過ぎる人もいます。扉を開けておいてくれない人、開けておいたけれども気づかない人、前の人が通った隙間をさっと通り抜けていく人は、男性でも女性でも、います。人それぞれです。

筆者のイタリア系移民の友人は、一緒に歩く女性のために少し早足でドアにたどり着いて、開けて先に入れてあげるということをさらりとやってのけます。

母が父に仕える古いタイプの日本の家庭で育った筆者が、そんなにお姫さま扱いされるとかえって居心地が悪い、と直訴すると「女性はお姫さまぶっておけばいい」と断言。よく聞けば、子供の頃からお母さんに女性の扱い方を叩き込まれたそうです。

ですが、それは女性に対する態度が違う環境では、違う受け取られ方をするでしょう。例えば戦国時代の武家の嫁にそんな待遇をしてはいられません。戦国時代は極端ですが、違う時代、国、地域をひとまとめにして、どのマナーが正しいなどと断定するのは難しいということは、常に頭に入れておく必要があるでしょう。

ロンドンで混み合った電車から降りようとすると、プラットフォームに立っている人が降車を待たずにどんどん乗り込んで来ることがあります。出口付近の人が動こうとしないせいで降りる人の波が滞ったり、乗り込んだ車両の入り口付近から奥に進まず、通せんぼしている人がいたり。

最近では、ラッシュ時のアナウンスで「降りる人を先に通してから乗車してください」「乗ったら奥に進んでください」などと言われることがありますが、ここに混んでいる電車の乗降に関するルールが特になかったというのは、人々にマナーがないということではなく、共通のルールを作る必要がなかっただけだといえるのかもしれません。

日本の混雑した駅のように、整列乗車の習慣もありません。上記のような状況であることを無しにしても、乗客にとりあえず整列乗車を強要したところで、電車が停まる位置が適当過ぎて、並んでいた位置に扉があらわれないという可能性の方が高いでしょう。ルールが出来上がるには、それが適用される環境となる他の条件も必要になります。

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観光に訪れて感想を聞かれて「イギリスは、店で働く人がお喋りをやめようとせず、接客態度がなっていない」と言う人もいれば「お店に入ればニッコリしてハローと言ってくれる気持ちのよい国だ」と言う人もいるでしょう。

イギリス人からしてみれば「日本からの観光客はいつもニコニコして礼儀正しい」と感じる人もいれば、「お店に黙って入ってきて、黙って品物に触って黙って出ていく」というイメージを持っている人もいるかもしれません。

どの文化にどんなマナーがあるのかを知るまでは、自分の慣れたルールと違うからと憤慨するのは不公平というものです。

新しい国にきて、新しいルールを見出すために、人(やその人の背景や地域)をゆっくり観察して、暮らしていくうちにそれに馴染んでいくのは、異国で暮らすことで得られる素晴らしい体験のひとつではないでしょうか。