ロンドン留学の日々

イギリス・ロンドンの生活、文化、基礎知識を綴ります。留学・ワーキングホリデー・移住。

バレンタインデーの過ごし方

1

2月14日のバレンタインデーには、朝から近所のスーパーで花束を買う男性の姿を見かけます。

「近所のスーパー」「当日の朝」という寂しいキーワードが気になるかもしれませんが、義理チョコ、友チョコ、本命チョコなど、年々フォーマットが多彩化する日本のバレンタインデーとはまた違う、イギリスでのバレンタインデーのサバイバル法を紹介しましょう。

女性から?男性から?

まず、好意を伝える日として認識されているというのは日本と同じですが、女性から男性へというよりは、どちらかというと男性側にプレッシャーがかかるようです。

子供の頃には母親からバレンタインカードを受け取っていたという筆者の友人もいますし、もちろん女性からの贈り物もあるのですが、どちらの場合でも、恋人や夫婦など気持ちを確かめあった相手同士であるような気がします。

日本のように、勇気を出して愛を告白して相手の気持ちを探る、という冒険物語にはなりません。例えば異性の親友や長年連れ添った嫁に感謝の気持ちを伝える、祝い事にうるさい恋人を不機嫌にさせないように、といった具合です。

資本主義社会のビジネス戦法に惑わされる面倒な日、と捉える男性も多いようです。

日本に定着しているホワイトデーという習慣はないので、特にお返しを期待できる日もありません。

母の日に感謝の気持ちを伝えたことへの見返りの日があるわけではないのと同じだとは思うのですが、特に必要も感じていない祝いの日の朝に慌てて花を買いに行く男性の姿を思い浮かべると、微笑ましいやら切ないやら、複雑な気持ちになります。

もちろんこの日を楽しみにするカップルもいるでしょう。

花やワイン、素敵な贈り物、または愛を綴ったカードを届けて愛する人の喜ぶ顔が見たいという男性もいれば、せっかくだから素敵なレストランでロマンチックなディナーがしたいわね、と考える女性もいるでしょう(支払いは男性側になるでしょうが)。

興味深いと思ったのは、筆者の知っている女性同士のカップルがバレンタインデーは何もしないと言っているところ、男性同士のカップルは目をキラキラさせて色々な計画を立てていると教えてくれたことです(日本と同じで、眺めの良い展望レストランといったロマンチックな場所は予約でいっぱいになってしまうそうですよ)。

女性、男性の役割や感情を、型にはめてまとめることはできませんね。

何を贈る?

チョコレートを贈るというのはない話ではありませんが、気持ちを伝える手段は何でも良いようです。

花やカードが一般的でしょうか。一般的というよりも、便利と言ったほうが適切かもしれません。季節になると火花を散らす日本のチョコレート市場の熱狂的な商戦が、イギリスではこの2つの業界に(気持ちやんわりと)広がる感じです。

よって、バレンタインに向けて頭を悩ますならば、それっぽい体裁を整えるのに便利な上記アイテムが道を行くだけで簡単に手に入る、ということです。たとえ当日でも、近所のスーパーで。

イギリスで日本流バレンタイン

2

 
現在よりもインターネットで得られる情報も少なかった昔に、日本人のボーイフレンドがいるイギリス人女性から「バレンタインには何を贈ればいいと思う?」と相談されたことがあります。

「日本では女性から男性にチョコレートを贈る」という習慣があることを知っていたのですが、贈るチョコレートの種類についての情報を仕入れたようで「わたしが彼に贈るのは本命チョコでいいのよね?」というような微笑ましい質問も飛び出てきました。

相手は習慣が違う国のあなたと付き合っているのだから、あなたが良いと思うものが一番だと思うと伝えたものの、義理チョコではなく本命チョコであることを示す方法を知りたい彼女は、日本では◯◯のチョコレートだと義理だと思われるらしい、本命はどこで買えば良いのか、などと頭を悩ませていたので、本音、建前、義理、人情、といった思考を説明するところから始めたのでした。

もしもイギリスに来たあなたが、日本でしていたようにバレンタインデーの義理チョコ、友チョコなどを友人たちに配りたいということであれば、背景とあなたの本意をきちんと説明できると良いでしょう。

何故なら日本の文化に中途半端に詳しい人が案外いて「日本人の女の子がバレンタインにチョコをくれた。日本人ではこれが慎ましい愛の告白の行為である」などと思われてしまう可能性もあるからです。

その結論を信じて疑わない人に、後から真意は違うことを伝える方が大変でしょう!

バレンタインデーやクリスマスのように、日本に伝わって今では本家とは違う形で存在するイベントごとをイギリスで体験する際には、こちらでの習慣を学ぶのと同時に、それが日本の文化としてどのように消化されたかを紹介できると面白いかもしれません。

またバレンタインデーはValentine’s Dayですので「’s」を発音するのを忘れないように!

ロンドンで安全に過ごすために

ロンドンでの生活に慣れない期間は気を張って、安全に気を配ると思います。

カバンの口が大きく開いていないか、財布が顔を出していないか、安全なエリアを通っているか。

ですが、かなり気をつけているようでも、日本では問題のないことがイギリスでは危うい行為になることもあります。

1

 
例えば、荷物を置く場所。バックパックを自分の座っている椅子の背に掛けたり、通行人の手の届く反対側の椅子に置いたり、携帯電話をテーブルの上に置きっぱなしにしたり、またコートのポケットに電話を入れたまま椅子の背に掛けるのも、気付かずにやっている人が多いかもしれません。

空港でスーツケースから目を離してはいけない、とは耳が痛くなるほど聞く話ですが、よく見てみると背後や数歩離れた場所に残して何かに没頭している日本人らしき人がいます。

みんなと顔見知りになる語学学校の教室にカバンを置いていって、数分の休憩の間に大事なものを盗まれた人もいました。

外国にいる人が全員悪者、というわけではありませんが、どんなにガードを固くしても、窃盗が起こったというのはそれが可能な環境を提供したということですし、「まさか盗られるとは思わなかった」という判断はあなたの責任です。これは外国が悪い場所という話ではなく、習慣が違うということを念頭に置きつつ文化に合わせていく体験をするのがあなたである、と言えるでしょう。

ひとりでカフェに座って、おトイレに行きたくなった場合にバッグを置いて席を確保していくのは避けるべきでしょう。

きちんと目を合わせて隣の人に見張っておいてくれるようお願いする(”Could you keep your eyes on my bag while I’m going to the bathroom?”など)ことで、盗まれる危険は減るかもしれません。

隣の人を信用するかどうかはあなたの判断次第でもありますが、特に荒んだ地域にいるのでなければ、使える手でしょう。

危険なエリア?

危険なエリアというのは昔に比べて減っている、という話です。

筆者の友人のイーストロンドンの人たちは、10年前は歩いているだけでよくカツアゲされたし、ひとりではカウンシルフラット(行政運営の住宅で、主に生活保護=ベネフィットを受けている人たちに提供されている)の敷地を歩くことさえはばかられたけれど、今はイーストロンドンにはお金持ちのヒップスター(ファッション性重視でイーストがカッコイイ、と言って流れてきた若者たち)が住みついているので、それほど危険は感じないとよく言います。

筆者も最初にロンドンに引っ越した際、「行ってはいけないエリア」としていくつかの街を教えられ、その近くに行くときはドキドキしていたものです。

危険の認識は人それぞれでしょうが、危険だと耳にした場所に出向く必要がある時は、用事をこなす相手とは目的地ではなく電車の駅で待ち合わせして、ひとりで歩くのを避けるようにするべきです。

また男性でも女性でも、暗がりをひとりで歩くのは避けるに越したことはありません。英語が話せる話せないも問題ではありません。あまり有難くない目にあった人の話を聞くと、それが起こったのはいつでもひとりで無防備にうろついていた時です。

少し酔っている時、暗い公園をひとりでジョギングしていた時など、それはロンドンが危険なのではなくて、その状態で通るルートが間違っていたということではないでしょうか。

公共交通機関で

24時間走行のナイトバスが数多くあり、夜遊びの帰り道に苦労しないロンドンですが、ナイトバスを利用する際、どこに座りますか?

日中、二階建てバスの上階から街を見下ろすのは気持ちの良いものですが、夜に乗る場合は運転手の目が届く一階の方が安心でしょう。

車内にいくつも防犯カメラ(CCTV)が設置されているのは事実ですが、誰もいない二階での不安はもちろんのこと、混んでいたとしても大量の酔っぱらい集団の大騒ぎや、絡まれたりするのを避けるためです。絡まれると言っても、悪意のない場合もあります。

ですが数人のゴキゲンな酔っぱらいに「どこに行くの?一緒に遊ぼう」と迫られたり、家の目の前のバス停で降りようとする時に「ボクも降りちゃおう」などと言ってついてこられては、面倒なことになるでしょう。

善意の人も多いので、明らかに絡まれていることに気づいた誰かがそのような酔っぱらいを止めてくれる可能性もありますが、それも騒がしいだけになる二階よりも運転手の目が届く一階の方がありえると思われます。とはいえ、酔っぱらい文化は、外国だからというよりも世界共通でしょう。

2

交通ルール

イギリスは日本と同じ左側走行なので、道を歩いていて思わぬ方向から来る車にぶつかりそうになることはないかもしれません。ですが、気をつけたほうがいいことに、横断歩道の通行があります。

ロンドンの人は、信号のない場所でも渡れるならば渡ります。

渡れないだろう、と思えるところでも何とかして渡ります。20メートルほど歩けば横断歩道がある場所で、バス停からまっすぐ渡った先の自宅に帰りたいおばあちゃんが、止まらない車の流れに杖を振り回してイライラしている、という姿を、昔住んでいた家からよく見たものです。

「相応しくないかもしれないけれども、できるかどうかやってみよう=怒られたら止めればいい=怒られなければ問題ない」というロジックが働いているように思えます。

歩行者用信号機の読み方は日本と同じですが、信号がない場所で、縞々のラインに、道路両脇でポールについた黄色いランプが点灯する場所を見たことがあると思います。

ビートルズの有名なアルバム「アビー・ロード」のカバーで、4人が渡っているのがそれです。

これはゼブラクロッシングと呼ばれている横断歩道で、人が渡ろうとしている場合、これの前では車は必ず一時停止しなくてはなりません。

つまり、渡らないのにそこに立っていると、走行する車を停止させてしまうのです。

ビートルズのファンがアビー・ロードのあの横断歩道を渡る写真を撮ることができるのは、彼らが渡り始めると車両が必ず止まるからです。

そして地元の人に鬱陶しがられるのは、用事があって通らなければならない道が、際限なくなだれ込む歩行者の無法地帯になっているからです。

というわけで、ゼブラクロッシングの周りを歩いていても、渡らない時はドライバーに向かってそのような意思表示をすると親切かもしれません。

3

 
また、車用の信号機は日本と同じ三色で青(グリーンです)→黄色(アンバーと呼ばれます)→赤となるのも同じですが、赤から青に変わる際にも一度黄色になります。

つまり、車が走り出す青信号になる前に知ることができるのです。

ですから、目の前に大きなトラックが止まっていて歩行者用信号が見えない場合などには、車の信号を確認して、赤から黄色に変わったら渡るのをやめる、という判断に利用できるでしょう。

自転車は車と同じルールが適用されます。

最近では自転車用のレーンがあちこちに整備されて走りやすくなりましたが、自転車に乗っていて忘れがちなのが、緊急車両が近づいてきた時に一旦停止することです。

救急車やパトカーのサイレンがあれば、車ならば端によって停止して道を開けるのは慣れたルールかもしれませんが、自転車も、また緊急車両が突っ切ろうとしている横断歩道を渡っている最中の歩行者も、動きを止める必要があります。

歩行者に違反切符はないにしても、サイレンが近づく中「まだ余裕があるから渡っちゃおう」という出来心は抑えましょう。

市民の銃の保持もなく、安全・衛生法(Health and Safety)にうるさいイギリスでは、危ない目にあった人より、身の危険を感じたことがないという人のほうがもしかしたら多いかもしれません。

ですが習慣が違う国であることは忘れずに、持ち物と身の置き場所には常に意識を巡らせて、あなたにとって万全の環境を保っていきましょう。

ロンドンの年末年始事情

1

イギリスは、クリスマスと年末年始の過ごし方が日本とちょうど逆であるとよく言われます。クリスマスは早々にカードを書き上げ当日は家族と過ごし、年末年始は友人たちとどんちゃん騒ぎ、という筋書きなので、クリスマスに一緒に過ごす恋人がいない人が日本では寂しい思いをする(と思われている)ように、イギリスの若者が大晦日の予定もなく家で過ごしていると、友だちがいないのではないかと親に心配されてしまうという具合です。

筆者は一度ロンドンの親しい友人と共に、クリスマス休暇を日本で過ごしたことがありますが、筆者の実家に泊まっていたのにクリスマスにみんなでディナーを食べないこと、大晦日にパーティをして酔っ払う予定がないことについて、そのイギリス人の家族に慰められたものです。何度「日本は家族でお正月を祝う」と伝えても「クリスマス・ディナーはどんな料理を作るの?」「大晦日はどこに出かけるの?」と聞かれ続けました。筆者の実家は元旦早くに初詣に行くので、大晦日はおちおち飲んだくれていられないのよ、という説明も、特に有効ではなかったようです。

というわけで、社会的にはクリスマスの数日前から徐々にホリデーに突入し、その後早くて年明け2日目から仕事、という人もいるようです。昔と違って年末のホリデー・シーズンも意地でも開店を続けるお店も増えてきましたので(意地かどうかはわかりませんが)、クリスマスも正月も関係なく働く、という人もいるかもしれません。

またクリスマス翌日26日はボクシング・デーと呼ばれる休日です。郵便屋さんやお金持ちの使用人など当日は仕えなければならない主人がいる身分低めの人たちがクリスマス・ボックスを開ける日であるとか、商人たちが一年の商売の労いに箱入りの金銭やギフトを受け取る日であるなど、名前の由来には諸説あるようですが、現代のイギリスでは冬のセールの初日です。

言ってみれば、シーズン終わりのセール、シーズン半ばのセール、サイバー・マンデー、ブラック・フライデーなど、一年を通して何かとセールを催す現代社会ですが、ボクシング・デーも同じく、先週買わなくて良かった、を味わう絶好の日(のうちの一日)であると言えます。

特にクリスマスは誰もが無理してギフトを買い込む時期ですので、それを過ぎた翌日の「売り払い感」と言ったらないでしょう。また、誰かからの頂きものが大変お安い値札を付けられて山積みされているのを見つけることもあるかもしれません。ですがその誰かがあなたのためにそれを購入した日にはそれなりのお値段で売られていたはずなので、見なかったことにして安売りの山を通り過ぎましょう。

ちょっと時代遅れの赤と緑のセーターやトナカイ柄の靴下といった「惜しい」「残念な」贈り物ではなく、自分が本当に欲しいものを手に入れたボクシング・デー(から始まるセール)を過ぎれば、クリスマス前に会うことができなかった友人と食事会をしたり、ちょっと遠くの親戚に会いに行ったりして一年を締める人が多いでしょう。その頃によく耳にする質問が、”What’s your plan for New Year’s?””What are you doing on New Year’s?”といったものですが、これはほぼ大晦日の予定を聞かれていると捉えて良いと思います。

New Year’sはNew Year’s Eveの省略であるようで、その質問のときは元旦の予定など聞いていないと思って差し支えないか、とイギリス人の友人に確かめたところ「新年の予定に触れる時ば”New Year’s Resolutions”(新年の抱負)を聞くかな」と言われました。

そうです。誰もあなたが元旦に何をするかなど興味がないのです。何故なら大晦日は酔っ払う為にあるので、その翌日でしかない元旦はむしろ「二日酔いで過ごす日」に決まっているのです。ですから新しい年を迎えて清々しい気持ちで過ごす正月の数日間の予定を発表したくても、聞かれるのは「新年の抱負」などというスケールの大きな話なのです。

ちなみにLinkfluenceは2016年、イギリスの統計でトップ3となった抱負を発表しています。結果は、1位:もっとエクササイズする 2位:健康的な食生活 3位:飲酒量を減らす だったそうですよ。

2

さて、大晦日にはロンドンをあげて年越し花火のイベントが行われます。2016年度は10月の時点で既に観覧チケットは売り切れているようですが、写真のようにチケットエリア場外から、設置されたスクリーンと空を交互に眺めながら楽しむこともできます。

またInternational Business Timesは、チケットなしで遠くから花火を目にすることができるロンドン各所をリストアップしています。Tower Bridgeなどまさに街中の花火スポットだけでなく、Primrose HillやHamstead Heathなど、セントラルロンドンからそれ程離れていない丘の上、というエリアが挙がっているのが、大都市でありながら案外こじんまりとしているロンドンらしいと思いませんか。

大晦日は地下鉄も24時間走っていますが、特に花火のあと帰宅する人びとが押し寄せる街中の駅の混雑は、想像に難くないでしょう。また人混みを避けた方が良い時代であるかもしれませんので、寒い思いもせず、人の後頭部も邪魔にならずに高画質で花火を楽しむには、BBCの生中継を見るのが一番かもしれません。テレビがない人は、BBCのサイト(iPlayer)で見ることもできるようですので、ソファの上なりベッドの中なり、あなたのベストポジションを確保して一年の締めくくりを目撃してください。

ロンドンのクリスマス_2

1

数年前まで「クリスマスにはお店が閉まる、食糧を買いだめしておかないと…」などと心の準備をしていた気がするのですが、昨今のロンドンで過ごすクリスマスには、そのような焦りはなくなりました。

「焦り」というのは「牛乳が切れたらどうしよう」という類のものですが、クリスマスの時期に友人たちが揃いも揃って母国に帰国してしまった語学留学時代のこと、特に誰かのパーティに招かれる予定も、ひとりで祝う予定もなかった寂しい日本人、普通の食生活を保つのにスーパーマーケットなしでやっていけるかしらと不安になったものです。スーパーも薬局も年中無休の東京の賑やかな街からやって来たから、なのかもしれません。

運命の12月24日、通常より早めの閉店時間前を狙って、近所のスーパーに最後の牛乳ハンティングに出かけたのが午後4時。次に買い出しに来られるのが27日、ということは必要なのは4パイント(2リットルちょっと)の牛乳が一本…と計算してみて初めて、お店が閉まるのがたったの二日半だと気づきました。それでも、丸二日間何があっても牛乳を手に入れることができないという不安は、個人商店は既に閉まり車も人通りもほとんどなくなったクリスマスイブの寂しい風景に、さらにかき立てられたのかもしれません。

実際にひとりで過ごしてみると特に困ったことはなかった、というのが結論ですが、現在では少なくともロンドン東部では、ほとんどの大手スーパーはクリスマス当日でも開いているようです。筆者の家の近所の24時間営業のスーパーTescoは、クリスマスイブは夜10時に閉まりますが、当日は午前11時から午後5時までと、通常の日曜日の営業時間とほとんど変わりませんので、生き延びる自信に漲っています。(クリスチャン系のオーナーでない個人商店、例えばトルコ系の小売店などはクリスマスに関係なく営業していると思われます)

ここ最近は、筆者は友人の家族のクリスマスディナーに招かれることになっているので、ひとりで牛乳のストックを数えて過ごすことはなくなりましたが、スーパーマーケットの開店時間を気にしなくてよくなったからこそ、他の不便を考慮するのを忘れてしまう、ということがあります。

12月25日、ロンドンの公共交通機関は稼働しません。「じゃあ当日、お昼頃に到着します」などと約束してしまい、いつもなら電車に乗って30分くらいで着く道のりを、家族全員分のプレゼントを抱えて2時間かけて汗だくで歩くというハードなチョイスをしてしまったことがあります。

タクシーやミニキャブは、当日値上がりします(2016年は4ポンド、余分にチャージされると発表されています)。そしてきっと、そもそも稼働数がいつもより少ないうえに、皆なんとかして大切な人の元へたどり着こうとするので、通りで走っているタクシーを見つけることはもちろん、ミニキャブを希望の時間に予約することも難しいかもしれません。せめてもの救いは、道路ががらんとしているので、いつもよりのびのびと街を歩くことができる、ということでしょうか。

ロンドンのクリスマスの交通情報は、Transport For London(TFL)のFestival Travelというページで確認できます。クリスマス翌日のボクシング・デイも祝日にあたるので、クリスマスのデイトリップが思わぬ泊りがけミニ旅行にならないよう、気をつけてください。

11月にもなると、街は徐々にクリスマスを思わせる風景に変わります。テレビでもクリスマスプレゼントの購買促進コマーシャルが流れ、子供番組に子供が喜ぶおもちゃの宣伝を挟んでくるので「子供のクリスマスへの意識が高まってくる」と頭を抱える人もいます。

そして日本で12月なると年賀状を意識し始めるように、少し早めにクリスマスカードを書かなくてはなりません。12月初めころからぼつぼつ届き始め、クリスマスが終わるまで家中に届いたカードを飾るのです。

日本で年賀状を送らない、という人々がいるように、イギリスにもカードを送らない、特にめでたくない、という人もいるかもしれません。ですが、筆者の知る人の多くは、クリスマスに遠く離れた家族の元へ帰る予定や、たくさんの人からカードが届くことを楽しみにしているようで、クリスマスとは「プレゼントをもらった子供がはしゃぐ日」だけではないのだなということを思い出します。

2

届いて(受け取って)から、当日までクリスマスツリーの下で寝かせるクリスマスプレゼントの交換は、大人にも嬉しいものでしょう。返品のルールも厳しくなく、どうみても一度使ったものをレシートと一緒にお店に持っていっても、特に検閲もされず返金されるということがよくあるイギリスですが、ギフトとして購入すると、返品・交換用のレシートを与えられます。

それをプレゼントに忍ばせれば、商品の購入価格を知られることなく、気に入らなかった受取人がお店に持っていって自分の好みのものと交換できるというシステムです。そんなことなら最初からギフト券を渡せばいいのに、という話かもしれませんが、自分を思って時間を割いてプレゼントを選んでくれたという事実が嬉しいことでもあるでしょう。

そしてクリスマスが終わると「義理の娘から蛇の指輪をもらったんだけど、気持ち悪いから交換してこようと思うの。ちょっとキツくて入らなかったって言えばいいかしら。でも代わりに全然違うテイストのものを選んだら、あからさますぎるわよねえ」などと頭を悩ませるのです。

伝統的でありながら、なかなか効率の悪いクリスマス。楽しい一日(または数日間)となりますように。

ロンドンのクリスマス_1

イギリスのベストシーズンは夏になりますが、実は、ロンドンは冬の方がたくさんのイベントがあります。 クリスマスシーズンは11月後半から始まり、現在のロンドンはクリスマスモード一色です。たくさんの飾り、そして夜のライトアップを見ているだけでもウキウキしてしまうような雰囲気があります。 ライトアップが有名な通りがありますので、写真とともにご紹介させて頂きます。

①ボンドストリートのイルミネーション

去年よりもライトの数を多くして、パワーアップしています。去年のテーマである「ピーコック=孔雀」をテーマにしたライトになります。ゴージャスな羽をモチーフにしたアーチがショッピング通りを盛り上げています。11月12日~点灯しています。

image (2) image (1) image

②コベントガーデンのイルミネーション

2015年の飾りつけのテーマは「mistletoe=ヤドリギ(植物)」です。 英米ではクリスマス・シーズンにヤドリギの下にいる相手にキスをする風習があります。この風習はスカンジナビアのバンドル(Balder)の神話に由来するといわれていて、キスをする前にヤドリギの実を一つ枝からもぎ取るのが正式なやり方ということです。 また、500,000個のレゴブロックで作られた汽車は必見です。なんと音も出ますし、ライトの点滅、煙も煙突から噴き出すのです。

covent1 covent2 covent4

③オックスフォードストリートのイルミネーション

有名なショッピング通りであるここには、雪の玉の形をしたライトがつりさげられています。なんとその数は1778個で、750,000ものLED電球が使われています。 また、昨年より多くのゴールドのライトを追加しているので、キラキラ感が増しています。ショップが主催のパフォーマンスやライブイベントも多数開催されます。

oxford1

④リージェントストリートのイルミネーション

こちらもオックスフォードストリートと並ぶ有名なショッピング通りです。今年のイルミネーションは Jo Malone London(香水で有名)がスポンサーとなり、スパンコール、歯車、コイルといった普段は何の変哲もなく見えるものをゴールドに輝く、ゴージャスなイルミネーションとして使っています。 11月15日の点灯式には、ジャズやオーケストラ、シンガーを招いての華やかなイベントが行われました。

regent

⑤ストランド・チャリングクロスのイルミネーション

ノースバンクと呼ばれるこのエリアは、ロンドンで初めてライトアップされた場所です。Savoyシアターは世界で公共の建物として初めてライトアップされました。これは、なんと100年以上前のことだそうです。

strand

その他、クリスマスマーケットやアイススケート、移動遊園地などたくさん楽しめる場所があります。
是非、ライトアップされたロンドンでクリスマスを満喫してみてください。

冬のロンドンで遊びに出かける

日が長く、湿気も多くないロンドンの夏には、友人たちと一日中公園に寝転んでいるだけで楽しい週末になるものですが、冬はどのように生き延びるのでしょう。

北緯51度、北海道の北端よりも北に位置するロンドン、さぞかし寒いだろうと覚悟してきたものの、偏西風と暖流の影響で案外暖かくて拍子抜けする人もいるかと思います。

雪が降ることもありますがそれも通常はほんのわずかで、ニュースになるのは雪に慣れていない交通機関がマヒするから、と言えるのではないでしょうか。

公園に出かけるには寒い日でも、ロンドナーはパブに出かけることを厭いません。

それも寒い中、店の外に溜まってビールを煽る人だかりを見ることもあるでしょう。

イギリスは公共の建物内(ホテルの室内含む)は禁煙なので、喫煙したい人はパブの外に出るのですが、煙草を吸わない集団もお店の外で立ち飲みをしていたりします。

日本で酒の肴をつまみながら、じっくり呑むのとは全く異なる意気込みです。ですから「飲みの日」のように一晩かけての予定にならず、どこかに出かけるついで、家に帰る道すがら、1~2杯飲んでサクっと店をあとにすることができるのかもしれません。

1

さて、日中に元気に遊びたい場合。

ハイドパークでは毎年11月から1月初頭にかけて、Winter Wonderlandという催しが行われます。

夏には特に盛んにFun Fairと呼ばれる移動遊園地が各所の公園で開かれますが、期間限定のテーマパークのようなイベントで、お化け屋敷やゆるめの絶叫マシーンなどアトラクションの他、アイススケートリンク、ドイツのクリスマスマーケットを模したものなどが盛りだくさんです。

ある意味ロンドンの冬の風物詩となっており、人手がとにかく多いのでただ歩くのも、スケートリンクでさえも大名行列のようなノロノロ進行ですが、晴れた日にお散歩がてら覗いてみるのも良いでしょう。

ロンドンには、他にも冬になるとNatural History Museum、Tower Of Londonなど観光名所の脇にアウトドア・アイススケートリンクが登場しますし、Alexandra PalaceやQueenswayには通年室内リンクが設置されています。

またQueenswayにはボウリング場もあり、施設自体23時までオープンしているので、大勢の友人たちとのパーティなどに使えるかもしれません。

ロンドンにはローラースケート・リンクも数カ所あります。通いつめていると見受けられる、普段着でスイスイ滑るエキスパートもいますが、ローラー・ディスコと呼ばれるだけあって、パーティのエンターテイメントでやって来たらしい80年代風に着飾った若者集団が大はしゃぎしていることもあります。

夏の公園での音楽フェスティバルに出かけると、食べ物屋台と並んでメリーゴーランドや空中ブランコなどミニ遊園地のようなアトラクションが用意されており、時にはローラー・ディスコまで見かけることがあります。

そしてお高い値段設定にも関わらずそれらが案外繁盛しているので、80年代に始まったブームがイギリスではブームで終わらず市民のエンターテイメントとして定着したのか、またはミレニアル世代に熱く注目されたのかは不明ですが、どちらにせよ微笑ましく目に映るというものです。

2

日本であまり見かけなかったけれどロンドンではそれほど珍しくない遊びに、ゴーカートがあります。室内、屋外問わず、安全に関する誓約書にサインをして臨むなかなか真剣なサーキットが数多くありますので、”Go Karting”で検索してみてください。

ゲームセンターは”arcade”や”amusement arcade”と呼ばれます。ロンドン・アイの足元にあるNamco Funspace(そう、日本のナムコによる施設です)には小さなボウリング場もあり、バースデーパーティーなど個人の貸し切りも可能なようです。

パブ巡り、公園でのハイキング(大きな公園に行けば歩くだけで良い運動になるでしょう)など、趣向が合えば特に企画もせずに気軽に楽しむことができるアクティビティもありますが、動くのも億劫な冬の一日を誰かと過ごすプランを立てるとき、馴染みの、または馴染みのない遊びを、ロンドンで見つけてみてください。

メンバーシップを手に入れる

1

 
ロンドンでは早朝、仕事前または通勤にジョギングしながら公園を突っ切っていく人を目にすることがあるかもしれません。

ランチタイムにランニング、という人もいるようです。またすごいスピードでベビーカーを押しながらジョギングするお母さん(時にはお父さんも)も見かけます。

公園にはアスレチック遊具と並んで、トレーニング器具が市民に愛されている場合もありますし、芝生の上でひとりストレッチをする人、指導員のもと筋トレをするグループなど様々な汗模様です。

パブの外で飲みたがるイギリス人、エクササイズも外で行うことに抵抗はないようです。

ですが、お金を払ってフィットネスクラブやジムに通うことも人気のアクティビティのひとつです。

ワークアウトはもちろん、プールからヨガ、テニスといった様々なクラスに参加できるジムのメンバーシップは大抵の場合学生割引が効きますので、新年の抱負にエクササイズを挙げた人は近所のジムを探してみてはいかがでしょう。

1月はクリスマスホリデーでふくよかになった人たちがこぞってメンバーシップを手に入れる時期ですが、一ヶ月もすれば空いてくるようです。

筆者の周りではBETTERというクラブに加入している人が数人います。

登録した施設以外にもイギリス中に星の数ほどあるロケーションで利用でき(メンバーシップによって例外はあります)、アートやITスキルのレッスン、ダンスや音楽のクラスから読み聞かせなど子供向けのアクティビティも多くあるので、なんだか便利そうだからとりあえず入っておこう、という感じのようです。

スイミングプールに行きたかった筆者が近所で探してみたところ、ほとんどがBETTERの運営でした。プールの場合は会員カードを持っていると一回の利用料が安くなるということですが、メンバーにならなくても利用することができます。

フィットネスクラブに入会というと、見学に行った時点で入会を断るのが難しいという不安があるかもしれませんが、会員以外でも利用できる運営体制であればお試しも気が楽でしょう。

また完全プライベートでない分、それぞれ施設の充実度、雰囲気(あるいは清潔感)も違いますので、入会を考える人はまずは自分が利用しそうな施設をいくつかの場所で体験してみると良いでしょう。

BETTERの学生メンバーの場合、入会金や期間の縛りもなく、ジムやフィットネスクラス、プールの利用は無料で、その他のレッスンなども30%オフで利用できる上、事前に予約を取ることができます。

2

 
BETTER含めイギリスの各施設で学生割引を利用する場合、NUS extra card(national union of students)が必要なことがほとんどです。

美術館や観劇、観光施設での割引がきく国際学生カード(International Student Identity Card)は日本からでも取得することができますが、NUSカードにも同じく”ISIC” のマークが付いていますので、前述の割引はもちろん、映画館ODEON、PizzaExpress、Amazon StudentやSpotify、Superdrugといった、趣味から生活に役立つお得なディスカウントを受けることができます。

Nus cardは有料で、顔写真入りの物理的なカードが送られてきます。学校からの認証が必要なため教育機関への送付は無料、自宅送付だと別料金だったりと少々手間と金銭がかかるのが難ですが、その価値はあると筆者は思います。

また他にもUNiDAYSなどオンラインで無料で登録できるスチューデント・カードがあります。オンライン・ショッピングでの利用になりますが、割引が適用されるサイトがそれぞれ多少異なります。NUS extraが適用されないサイトでよく買い物をするのであれば、ご自分にあったカードを見つけてください。

さて、ロンドンに拠点を移して、学校以外での友だち作りが難航しているならば、趣味のサークルに参加したりレッスンに通って仲間を増やすという手もあります。

上記のジムのように、施設にてアクティビティの場を提供しているところもありますし、個人でメンバーを募って活動しているグループもあります。

エリア名と興味のあるアクティビティで検索して何かが見つかる場合もありますし、家探しや物の売買に便利なGumtreeのコミュニティのページを覗いてみるのも良いでしょう。

またMeetupというソーシャル・ネットワーキング・ウェブサイトも、同じ趣味の仲間と出会うのによく利用されているようです。かなり絞り込んだ仲間募集もありますので、サインアップの前に眺めて楽しむこともできますし、自分でより偏った趣味仲間を募ることもできます。

選択肢はそれほど多くないかもしれませんが、住んでいるエリアのカウンシルのオフィシャルサイトで面白いワークショップやレッスンが見つかることもあります。何しろ地元であるということ、またカウンシルを通して広告を出しているグループということで安心して参加できるというメリットがあるでしょう。

趣味の世界では、英語力が足りなくてもスキルやパッションで意気投合できる可能性があります。

また日本特有の技術や文化の紹介に興味を持つ現地人も多いので、それを伝えるコミュニティを作って、英語力と人脈と広げるという展開もありでしょう。インターネットで日本のテレビや情報に浸って過ごすことが難しくない時代ですが、あなたの余暇の時間が充実したものになりますように。

ロンドンの天気

1

 
ロンドンの天気は変わりやすいと言いますが、変わりやすいことなら分かっているのにみんな天気予報をチェックして、信頼して、「全然当たらない」と文句を言うものです。

天気の確認によく使われるのはBBC Weatherのスマートフォンのアプリやウェブサイト(リンク)で、サイトであれば右上のサーチボックスにエリアやポストコードを入力すれば、自宅周辺、学校周辺など狭い地域の予報が見られます。

どうせ予想外に雨が降ったり止んだりするのであまり細かく見なくても良いのではないかと思いますが、自宅は大雨に見舞われているのに、5キロ程度離れた場所がカラリと晴れていてその後も全く雨の気配がない、などということもあるので、なかなか便利です。

ロンドンは雨が多い?

ロンドンは雨が多いという話をよく聞きます。

様々な国から来た人が集まる街ですので「ロンドンに来てあまりに雨が多いので生まれて初めて傘を買った」と言った人がいましたが、筆者は「ロンドンに来て傘が要らなくなった」と思いました。

日本では梅雨はもちろん、それ以外の季節でも一度雨が振り始めたら一日中、または数日間に渡って本格的に振り続けるような気がします。

「本格的に」というのは、傘を差さなければずぶ濡れになるくらいということで、一日降り続くものですからその後に濡れた服が乾くことがない、というレベルです。

ですがロンドンでは、確かに予想外のシャワー(にわか雨や夕立)は多いものの、雨降りが一日続くことはそれほどないのです。また空気が乾燥しているので、雨に濡れた服もしばらくすると乾いてしまいます。

ですから、突然のにわか雨に遭遇しても「ちょっと雨宿りしているうちに何とかなる」という感じで、実際にその10分後には晴れ間が覗いたりするのです。

つまり、傘がなくてもお店や誰かの家の軒先、またはそこら中に茂る木の下に駆け込めば良く、その屋根の持ち主も特に客ではない人が雨宿りしていても気にしません(ですから堂々と雨宿りできます)。

さらには、傘を持っていても面倒だから差さない、もしくは(特に男性などは)傘を差す程の雨ではない(男が廃る、といった気合で)と言って聞かない、という人もいます。よっぽどの大雨の予報でなく「雨が降りそう」程度の日は、フードが付いたものを着て解決する模様です。

実際、ロンドンと東京では後者の方が年間降水量が2.5~3倍も多いそうです。その統計を目にしてから「ロンドンは雨が多いから」と文句を言うイギリス人を、優しい目で見ることにしています。

2

ロンドンの四季

天気の良し悪しの基準は難しいところですが、夏は涼しく冬は緯度の割に暖かいので「年間を通して過ごしやすい天気」と言えるのではないでしょうか。

ただ冬の日照時間はかなり短く、午後3時を過ぎたら暗くなってしまう時期もあるというのが残念ですが、その代わり夏場には午後10時ごろまで明るいので、夏を心待ちにしてやり過ごせば良いでしょう。雪もたまに降りますが、2010年の大雪ほどの大混乱は昨今ありません。

夏は18度から25度くらいの過ごしやすい温度で、一般家庭にはほとんどエアコンはありません。暑ければ外に出て木陰に座れば快適ですし、ショッピングセンターなどに出かけて冷気を浴びる方法もあります。

ですが日光を重宝するイギリス人は、木陰とは言わず日光浴に勤しむ方が一般的でしょう。年に一日か二日ほど30度近い、または越える日がありますが、そんな日は誰もがこぞって天気予報アプリのスクリーンショットをSNSサイトに投稿するので微笑ましく感じます。

花粉の種類は違うのかもしれませんが、ロンドンでも花粉症に苦しむ人がいます。日本と違って鼻をすするのは嫌がられるので、 春から初夏にかけて盛大に鼻をかむ人の姿を目にすることもあるでしょう。

夏時間

春(3月)と秋(10月)の最終日曜日、夏時間(Summer TimeまたはDaylight Saving Time)の開始と終了に合わせて時計の調節が行われます。

春には日曜の午前1時に時計を一時間進め、秋には日曜の午前2時に一時間戻します。つまり夏時間が始まる日曜日は睡眠時間が一時間削られ、冬に入る日曜日には一時間多く眠ることができるのです。

日本との時差は、春夏は8時間、秋冬は9時間となります。最近はロケーションを設定しておけばコンピュータやスマートフォンが自動で調節してくれるので、意識していなければいつかは気付くと思いますが、テレビを見たりインターネットでニュースに接する人も、今夜だなと感づくはずです。

今年の日程、時計を進めるのか戻すのかを知りたいときは、こちらのサイトがわかりやすくて良いと思います。

長らく世界の標準時の基準に使用されていたので目にしたことがあるかもしれないグリニッチ標準時(Greenwich Mean Time)の表記「GMT」ですが、夏の間はBST(British Summer Time)と表されます。

3

大気汚染と天気

ロンドンが霧の都と言われたのは、産業革命から石炭利用などによる大気汚染のせいですが、現在でも「日の出時刻は午前8時過ぎ、真っ暗な中を通勤する」といったロンドンの冬の辛さを強調する朝の霧は健在ですし、時に1メートル先が見えない程の濃霧に包まれる日もあります。

ロンドンの大気汚染は未だに大きな問題ですが、1952年の1万人を越える死者が出たロンドンスモッグ(The Great Smog of 1952)を経て環境問題の改善に取り組んできたイギリスでは、特に21世紀に入ってから行政や市民の 意識も高まっています。

ゴミのリサイクルを推し進め今では多くの人が分別をしている(リサイクルと普通ゴミという大雑把な分け方で、リサイクルとして収集されたものがほとんど再利用されていないというレポートがあったことはさておき)他、排気ガス削減のため自転車を推奨し、ロンドン中で自転車専用レーンの設置が進み、至る所でレンタルバイクが提供されていると合わせて、環境への負担が著しい大都会の実情も少しずつ改善に向かっていると信じたいところです。

9月にも何日か夏日があり、10月になってもまだコートも要らない暖かい日が続いた2016年でしたが、年々夏が長くなっている気がするのとあわせて、気候変動(climate change)という言葉が頻繁に会話に登場します。

世界的な社会問題に対する自分の意見を構築しておくのも、長い冬を過ごすひとつの方法かもしれません。

ロンドンのロイヤルパーク(王立公園)

1

 
ロンドンには8つのロイヤルパーク(王立公園)があります。

中心部にハイドパーク(Hyde Park)とケンジントン・ガーデンズ(Kensington Gardens)、クリーンパーク(Green Park)、セント・ジェームズパーク(St. James’s Park)、ノースロンドンのリージェンツパーク(Regent’s Park)、そして西部郊外のリッチモンドパーク(Richmond Park)とブッシーパーク(Bushy Park)、テムズ川南東部のグリニッチパーク(Greenwich Park)です。

元々は王室の余暇用(主に狩猟用地として)として所有されていたのですが、ロンドンの都市化を考慮して、公共の公園として開放されるようになりました。

日本の公園では芝生内は立入禁止という札をよく見かけますが、ロンドンの大きな公園では歩道に沿って歩いていては日が暮れてしまうかもしれません。とは少し言い過ぎですが、都会の喧騒を逃れて芝生の上でくつろぐことが至極の余暇でもあります。

大人だから、このような格好をしているからなどと周りの目を気にする必要もなく、のんびり過ごす(またはジョギングしたりバドミントンなどスポーツをしたり)ことができる空間をいくつかご紹介します。

ハイドパークは、142ヘクタール(1.4平方キロメートル)の敷地に4000本以上の木と巨大な池、ボート乗りやアイススケート(こちらで紹介したウィンター・ワンダーランドにて)もでき、乗馬や子供用のエリアもあるロイヤルパークです。

11世紀のノルマン朝時代より前からウェストミンスター寺院の所有だったのですが、1536年にヘンリー8世がハンティング用の土地として買い上げ、1637年にチャールズ一世が一般に公開してから市民に親しまれる公園となりました。

サーペタインとロング・ウォーターという湖を堺に分けられている西側の隣のケンジントン・ガーデンズと合わせると253ヘクタールとなります。

面積を表すのによく東京ドーム何個分、と言われますが、東京ドームの大きさを把握している人は一体どれくらいいるかという疑問はさておき、約50個分だそうです。東京ディズニーランドは約5個分、府中刑務所の約10個分、ほとんど参考にならないと思いますが、とにかくかなりの広さです。

公園内には、故ダイアナ妃のメモリアルや毎週日曜日に人々がお立ち台に上がって持論を披露するスピーカーズコーナー、ロンドンのホロコースト・メモリアルなど観光で訪れる人々に人気の名所も多くあります。

夏には湖の周りにデッキ・チェアに寝転がって日光浴を楽しむ人、家族連れでピクニックをするグループ、ビキニ姿でビーチボールを楽しむ若者など、自由な形で都会の中の自然を満喫する人々を見かけます。

ほとんどが犬のリードを外して自由に走らせて良いエリアなので、落とし物には注意が必要ですが、夏の暑い日でも木陰にごろりと寝転べば、エアコンのない家の中よりも快適に過ごすことができるでしょう。

2

 
ペリカンでお馴染み(鳩を飲み込む姿を捉えたビデオが話題になりましたが、毎日午後2時半、餌やり風景を見ることができます)のセント・ジェームズパークは、ダウニング・ストリート(首相官邸=No.10と呼ばれます)からほど近く、バッキンガム宮殿を挟んだ西側にあるグリーンパークは日本大使館の側にあります。

まさしくロンドンの中心地に位置するので、用事のついでに寄ったことがあるという人も多いかもしれません。特に「公園に行こう」という計画を立てなくても自然の中での和みの時間を持てるのが、ロンドンの良いところでもあるでしょう。

敷地内にバラ庭園や動物園(London Zoo)、5月末から9月初頭にかけて開かれる屋外劇場、大学の校舎もあるリージェンツパークは、ザ・ビートルズの”The Fool on the Hill”他、多くの音楽に登場するプリムローズ・ヒルと繋がっています。

この2つの緑地帯(王立公園と指定保護地域)の間には、バーミンガムからオックスフォードを通ってテムズ川と繋がる、220キロの長さのグランドユニオン・カナル(運河)の一部であるリージェンツ・カナルが走っています。プリムローズ・ヒルは高級住宅エリアですが、訪れる誰もが、ロンドンの街を見下ろす絶景を目にすることができます。

またトラファルガースクエアからほど近いハムステッドヒース(Hampstead Heath)はロンドンで10本の指に入る高台にあり、プリムローズ・ヒルより広範囲でロンドンの街並みを眺めることができるでしょう。

3

 
公園では日本では見ない動物、鳥、植物などに加え、リスや白鳥を見かけることが多くあると思います。

人懐こく、エサをやるふりをするだけで近寄ってきたりするグレイ色のリスは、外来種です。元々イギリスに住みついていた赤いリスは劇的に減少し、現在のロンドンではほとんど見ることができません。グレイ色のリスに比べて臆病なので近寄ってくることはないかもしれませんが、イギリス北部にはまだ存在するようなので、見かけたら驚かさないようにそっと喜んでください。

さて1981年の野生動物とカントリーサイドの条例により保護されている白鳥ですが、数年に一度、白鳥を持ち帰って料理したりバーベキューをしたとして罪に問われる人が現れます。

白鳥はそもそも女王の所有物なので、殺したり持ち帰ったりしてはいけません。渡り鳥の所有権とは微妙な話ですが、12世紀に定められた法律が未だに有効です。白鳥を傷つけた場合も犯罪となりますので、気をつけましょう。

都会の中に存在する緑に囲まれた広大なスペースを無料で自由に利用できるということは、生活に公園が根付いているということでしょう。

みなさんもロンドン滞在中、家から近い、学校から近い、などの理由でお気に入りの公園を見つけることになるかもしれません。

スクエアやグリーンという名で、住宅街やビル群の中に小さな公園が存在することもあります。お気に入りのベンチやお気に入りの木の下など「いつものスポット」ができる頃には、あなたもロンドナーの一員になっていることでしょう。

暖をとる

1

 
ロンドンの冬は他のヨーロッパの国に比べて暖かいものですが、建物が古くて隙間風が入る、窓ガラスが薄い、などの理由で部屋の中が惨めな寒さになることも稀ではありません。

家を借りる際に南向きの部屋やダブルグレイジング(double glazing=二重窓)の家を選ぶだけでだいぶ違いますが、入居した家が寒かった場合はどうすれば良いのでしょう。

個人の家にエアコンがあることが少ないイギリスですが、多くの場合(ヨーロッパのほとんどの国で)セントラルヒーティングというシステムで家中の暖房が管理されています。

ボイラーからパイプを通して各部屋のラジエータ(radiator)に熱い湯が送られて部屋が温まるという仕組みで、パイプが通っている床の上はじんわり暖かくなります。

ですので、例えば廊下のラジエータをオフにしていても、床下にあるパイプのせいで部屋との温度差があまりない、という可能性もあります。最近のお洒落なフラットには同じくお湯が送られるパイプが敷き詰められた床暖房があるそうですが、だいたいラジエータとの付き合いだと思って間違いないでしょう。

安全性が高いうえにエアコンや電気ストーブと違って家中が温まること、それぞれのラジエータで温度を調節できることから、セントラルヒーティングがきちんと機能していれば、外にいるのが駅やバス停まで歩く時間だけ、となりがちなロンドンの冬はそれほど辛くはないのではないでしょうか。

全体の温度管理はボイラーで行い、各ラジエータについているツマミ(雪マーク=オフから1~5といった設定)でも調節ができます。よほど古くなければタイマーも付いているので、毎日起きる前や帰宅前の時間を設定して部屋をゆっくり温めておく、ということも可能です。

2

 
お湯を沸かすのはガスですので、ボイラーが壊れたらガス会社に連絡することになります。

ですがシャワーやキッチンのお湯は問題なく使えるのに、ラジエータが温まらないという場合は、中に空気が溜まってお湯が行き渡らない状態になっているのかもしれません。

DIYショップやツールショップで写真のような鍵(radiator key)を購入して、ラジエータの四角いネジを回して空気を抜きます。

シューシューと大きな音を立てて空気が抜け切るとそのうちお湯が吹き出して来ますので、開始する前にラジエータを切って冷たい状態にしておく、回してから鍵は挿したままにしておいて、水の音がしてきたらすぐさま閉じられるようにしておくと安心でしょう。

またお湯が噴き出した時に備えて、お湯の拡散防止用のタオルを添えておいてもいいかもしれません。

空気抜きはそう滅多に必要なものではないはずですが、大抵家のどこかにあるはずですので、自分で買う必要はないかもしれません。大家さんに聞いてみても良いでしょう。

むしろヒーターの不調の原因が違うところにあった場合などは修理してもらう必要があるので、まずは暖房が効かないと大家さんに訴えるのが賢明かもしれません。

残念ながら「古いから仕方がない」「修理するには一度退去して貰わなければならない」などと言われることもあるかもしれません。

窓やドアに隙間がある場合は、断熱シール(insulation)やドアの前に置くだけのクッション型の断熱材(総合的にDraught excluder、Draught stopperなどと呼ばれます)を購入して、せめて隙間を塞ぐことはできますが、冷気の侵入を防ぐ程度ではなく暖房が欲しい、という切実な状況の場合は、電気ヒーターやデロンギなどのオイルヒーターなどを個人的に部屋に導入する方法もあります。

ですが光熱費(bills)込みで家賃を払っている場合や、特にフラットシェアで他のテナントと光熱費を折半して実費で出し合っている場合は、大家やシェアメイトに相談するのがフェアでしょう。内緒のつもりでいても、部屋のドアから温かい空気が漏れて使用が見つかる可能性も大です。

イギリスにも湯たんぽは存在します。「湯たんぽ」に特に名前は与えられなかったようで、特にヒネリもなくそのままホットウォーターボトル(hot water bottle)と呼ばれていて、様々な柄のカバーも見つかります。また電気毛布(electric blanket)もありますが、どちらかというとマットレスの上に敷くタイプがポピュラーなようです。

掛けるタイプのものはheated throw、敷くものはheated mattress topper、under blanket、mattress coverなど色々な呼び名があります。

使い捨てカイロを日本から持ってくるという人も多いようですが、入国の際、ポケットに入っていた使用中のカイロが何だかを説明できずに別室へ連れて行かれた人の話を聞いたことがありますので、注意が必要かもしれません。

逆に全く問題がなかったという人もいます。イギリスにカイロのようなものが売っていないわけではないですし、特に持ち込み禁止物として挙がっているわけではないのですが、入国審査官が「正体不明の発熱物体を保持した危険人物」と判断すれば、それを覆す説得力のある説明をする以外にイギリス入国の可能性はありません。

飛行機への持ち込みは航空会社や空港によってルールが違うようですので、確認するに越したことはないでしょう。また日本から送ってもらう場合、荷物に入れて良い商品とそうでないものがあるようです。

郵便局のサイトで国際郵便として送っても良いカイロを製造している会社名をリストアップしていますので、こちらを参考にしてください。

温かい家が見つかるのが一番ですが、もし改善が必要または可能な状況であれば、適当な対策を見つけて長い冬を生き延びてください。